佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2019 ミュージカル オン・ザ・タウン を観て来た

 今日は兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールで「佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2019 ミュージカル オン・ザ・タウン」を観て来た。毎夏、芸文センターでやってるオペラの枠なんだけど、今年はなんとバーンスタインのミュージカル「オン・ザ・タウン」が上演された。バーンスタインの舞台は2017年7月にフェスティバルホールで大阪フィルハーモニー交響楽団が演った「ミサ」以来だ。初演は1944年12月28日というから、まだドイツも日本も降伏してない時期に水兵が主人公とはいえ、ニューヨークではこんなお気楽なミュージカルやってたんだから驚きだ。バーンスタインの初めてのミュージカル作品で、「ウエストサイド物語」や「キャンディード(序曲だけ3月にスラットキン指揮で大フィルが演るのを聴きました)」にさかのぼること12、3年前の作品。歌も歌っているけれど、やたらと心情表現を踊り(バレエ、単独も群舞もある)だけで表現するシーンが多いなぁ、と思っていたら、バーンスタインは「ファンシー・フリー」というバレエの舞台作品を1944年4月に上演しており、設定も24時間の休暇をもらった水兵がニューヨークの街に繰り出してのナンパ合戦、というよく似た設定。(しかし、24時間休暇もらったからって寝ずに遊び倒して次の日の勤務大丈夫なのかしらん?)これをミュージカル化したのが「オン・ザ・タウン」らしい。だからか、踊り担当と歌担当が結構はっきり分かれていて、歌うヒトはあんまり難しい踊りはやらない。水兵ゲイビー(バリトンのチャールズ・ライス)の「6月のミス改札口」への揺れる恋心は、踊り専門の水兵さん(ドリーム・バレエ・ゲイビーって役名でロビン・ケント)が代わりに踊って表現してくれる、っといった具合。なかなか面白い。踊りはみなさん素晴らしかったが、ロビン・ケントは第2幕のコニーアイランドあたりはもう疲れてきてるのかキレがなかったような気がする。明日は休演日なので、しっかり疲れをとってくださいね。
 バーンスタインの楽曲はどれも素晴らしく、初めてのニューヨークに興奮する3人の水兵さんのウキウキ感と、この24時間しかない!という焦りみたいなものががこっちまで伝わってきて、カミさんなんか終始カラダを揺らしてたもんね。(フランク・シナトラのじゃない「ニューヨーク・ニューヨーク」は初めて聴きました。)まぁ、ストーリーには深みは無いので、軽い喜劇を楽しみながら、ウキウキする音楽やほれぼれする歌声を聴いて、素晴らしい踊りを素直に堪能すればよし、という昔のボリウッド映画のようなミュージカルでしたわ。
 演奏は、佐渡裕の正面に陣取る木管勢が頑張ってましたね~。それを左手の弦楽器が下支えして、右手の金管・パーカッション勢が助太刀するような感じでした。次々流れるように始まって終わっていく踊りと演奏を合わせるのって大変なんじゃないでしょうか(一部ズレてました?)ね。総じて素晴らしかったです。評価点は5点満点の4点。たまにはこういうのもいいですね。来年のプッチーニ「ラ・ボエーム」も期待しています。ワタシらもチケット必ず買いますよってに。

映画「新聞記者」を観てきた。

 この映画は東京新聞の望月衣塑子記者の新書『新聞記者』が下敷きになっているフィクション。アメリカの映画なら一昨年「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」を観たけど、日本の映画でこういうのは長らく観た覚えがない。久々にすごい映画観たわって感じ。朝日新聞7/3朝刊の「キュー」で島崎今日子氏が 松坂桃李 のTVドラマ「パーフェクトワールド」での演技を褒めていたけど、この映画での演技も秀逸。 ヒロインの女性新聞記者役のシムウンギョンの演技もすごくて、彼女の眼に思わず吸い込まれそうになった。彼女の上司には北村有起哉、外務省から内閣調査室に出向している松坂桃李演じる杉原の上司が田中哲司で、それぞれが期待通りの演技でいい味出してる。意外だったのは杉原の妻役の本田翼で、こんなかわいい理想的な奥さんいたらたまらんな~っと思ってしまった。日本でもどんどんこんな硬派な映画が出て来るといいなぁ、と思った次第。評価点は5点満点の4点。シムウンギョン演じるエリカは多田からの電話で死と直面させられる一方、やっぱラストは杉原は撤回しちゃうんだろうなぁと思った。完全決着できないところが日本映画の限界?かしらん。

映画「プロメア」を観てきた

一昨日、今年2本目のアニメ映画「プロメア」を観てきた。「天元突破グレンラガン」「キルラキル」を生み出した今石洋之監督と脚本家の中島かずきが再びタッグを組んで送り出す、完全オリジナルの劇場用アニメーション、ってくればどちらとも好きな私が観に行かないわけがない!
映画ってことで声をやるタレントも豪華!主人公ガロ・ティモスに松山ケンイチ、宿敵リオ・フォーティアに早乙女太一、そしてガロの上司でラスボスのクレイ・フォーサイトに堺雅人。キーマンのデウス・プロメス博士に古田新太、犬のビニーにケンドーコバヤシ。脳筋・猪突猛進な性格の主人公は一連の中島アニメの特徴。こういう役は松山ケンイチのはまり役。この好敵手役はやはり早乙女太一が適任で、この辺はまさに劇団☆新感線。脇もグレンガランやキルラキルでも活躍した声優陣がガッチリ固め、安定の声優陣。惜しむらくは、中島アニメの巨大なスケールをおさめるには、商用映画の2時間枠は小さすぎたかも〜、というところ。芝居みたいに1幕2幕の間に休憩入れて3時間半くらいの尺でドーンと構えてやって欲しかったかなぁ、そこがちょっと不満。メカももっといろいろ見たかった。TRIGGERが作ったにしては、ドリルが出てきたり、キルラキルよりはグレンガランへの想いの方が強い作りになってましたな。また何年後かに中島アニメ観たいです。評価点は5点満点の4点で。

映画「コンフィデンスマンJP ロマンス編」を観て来た。

 6/12の水曜日に映画「コンフィデンスマンJP ロマンス編」を観て来た。テレビの「コンフィデンスマンJP」は毎週欠かさず録画して観ていた。最終回に映画化が予告されていたが、1年も前のことですっかり忘れていた。毎週面白く観ていたので、まさか平均視聴率は8.9%の低視聴率にあえいでおり、映画化もギャグに取られていたとは全然知らなかった。こんな面白いプロット、なんでみんな観なかったのかしらね。確か末尾のJPは日本の意味でドラマのプロットを海外で売り出してKRとかJKとか出す野望があったように聞いていたのだけど。映画化の件はすっかり忘れていたけど、他の映画を観に行った時に予告編を観て「ぁ~、やるんだ~」といったん頭にインプットしたんだけど、それもまた忘れちゃって、最近ヒットしてるよ~ってSNSやらで観て、やっと観に行ってきた次第。
 いやぁ、面白かった。TV版の時のゲストも出てきてて懐かしかったし。しかし、映画観ての最初の感想は「三浦春馬かっけ~」だ。これに尽きるわ。主役のダー子こと長澤まさみもボクちゃんの東出昌大もリチャードの小日向文世も完全に脇へ追いやったわ。ゲストのジェシー(三浦春馬)とラン・リウ(竹内結子)のロマンスが全面展開。ラン・リウの持つ「パープルダイヤ」目当てで色仕掛けで迫るジェシーと、ラン・リウからおカネを巻き上げたいダー子達とのラン・リウをめぐっての騙し合いに一見思える展開に二重三重の仕掛けがしてあって、ホント面白かったんだけど、ちょっと仕掛けが粗かったかな~。ラン・リウの元夫に「30億円」ポンと払っちゃったところで、大体分かっちゃったわね~。駆け落ちを思いとどまらせるだけの手切れ金に「30億円」は無いわ。そんなんで日本のゴッドファーザー赤星(江口洋介)ってダメでしょ、いくらコメディでも。もう一工夫欲しかったなぁ。モナコ(織田梨沙)はまぁまぁだったかな。
 評価点は5点満点の3点。リチャード、変装以外ほとんど仕事してないでしょ。

舞台「ハムレット」を観て来た

 一昨日(6/7)は”縁起の良い”森ノ宮ピロティホールで「Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019 DISCOVER WORLD THEATRE vol.6 『ハムレット』」の大阪公演の初演を観て来た。ウィリアム・シェイクスピアの四大悲劇の1つだけど、「ハムレット」を観るのはこれが初めて。いやもしかしたら大昔新神戸オリエンタル劇場で見たかもしれない。
 本公演の「ハムレット」は、翻訳=河合祥一郎、演出=サイモン・ゴドウィン、美術・衣裳=スートラ・ギルモア、キャストは、岡田将生(ハムレット)、黒木華(オフィーリア)、松雪泰子(ガートルード)、青柳翔(レアーティーズ)、村上虹郎(フォーティンブラス)、山崎一(ポローニアス)、福井貴一(クローディアス)、竪山隼太(ホレイシオ)、あたりが主な出演陣。チラシにある秋本奈緒美がどこに出ているのかなぁ、と思っていたら、旅の一座が唄い出したところで気が付いたというところかしら。 亡霊の冨岡弘とか山崎一や福井貴一あたりは安定の演技。松雪さんのガートルードも良かったです。一方、有名な名ゼリフが多いハムレット役は大変ですな。「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」は、セットの高いところでなんかあっさりした感じで言ってましたな。「弱き者よ、汝の名は女」の方は情感たっぷりでした。ハムレットとオフィーリアの「尼寺へ行け」のシーンはなかなか良かったんじゃないでしょうかね。でもローゼンクランツとギルデンスターンのコンビはなんか、軽い感じの演技でしたな。ちょっと軽薄な感じです。原作でもそうでしたっけ?
 王宮の裏手がポローニアスの屋敷になったり、その上段が船のデッキになったり、舳先がガートルードの寝室になったり、とセットをくるくる回すことで結構スピード感のある場面展開で気に入りました。劇中劇のセットを表す大きな幕のデザインや、最後のフェンシングのシーンの設えも気に入りました。
 なかなか復讐を果たせない優柔不断でかしこくて優しいハムレットを岡田将生はまぁ好演してたと思います。しかし、カーテンコールの時には疲れ切っていたのか、足をどっか痛めたのかなんか歩みがヘロヘロでしたな。土曜日(6/8)の昼夜2公演は大丈夫だったんでしょうか?
 評価点は5点満点の4点。悲劇なのになんか軽やか?爽やか?なハムレットでした。岡田・黒木の雰囲気がそう感じさせるんでしょうかね?

「世紀末ウィーンのグラフィック デザインそして生活の刷新にむけて」を観て来た

  「ウイーン三連発」の最後は目黒区美術館で「世紀末ウィーンのグラフィック デザインそして生活の刷新にむけて」を観て来た。この展覧会は今年の1月に京都国立近代美術館でやってたんだけど、1月に行けなかった(オーストラリア行って遊んでたからな)ので、ようやくここで見られることになった。この展示物は2015年に京都国立近代美術館がアパレル会社の創業者、平明暘氏が蒐集したもの収蔵したものだそうです。
 こちらでも、クリムトやシーレの素描や、ウイーン分離派のカタログやポスターがいっぱい見られます。他の2つの展覧会には無かった展示として版画が多く展示されてます。ノラ・エクスナー・フォン・ツムブッシュ《蘭》、レオポルト・ブラウエンシュタイナー《木(「クンストシャウ1908年」ポートフォリオのために)》、カール・モル(版画)/ヨーゼフ・ホフマン、ウイーン工房(装丁)《版画集「ベートーベンの家」》、カール・モル《ハイリゲンシュタットの聖ミヒャエル教会》、ベルトルト・レフラー《童子》、カール・クレネク《森の農家》、フェルディナンド・アンドリ《農夫と農婦》《野良仕事》、エルンスト・シュテール《山の湖》《湖》《古代夜景》が良かった。
 素描ではエアハルト・アマデウス・ディール《リュート奏者》、エドゥアルト・ステラ《分離派風ライフスタイル》、ハンス・ベーラー《立つ少女》が良かった。
 ポスターではアルフレート・ロラー《ウイーン近郊雪山鉄道》、コロマン・モーザー《オーストリア挿画新聞》、テオドール・ツァシェ《第6回国際自動車展ウイーン1906年》が良かった。
 あと、ソファや作り付けの家具、テーブルなどの調度品が展示されているのも良かったです。「ウイーン・モダン~」でも食器やドレス(改良服)、椅子やテーブルが展示してあって、当時のブルジョアのセンスが分かります。
 評価点は5点満点の4点。目黒区美術館っていかにも区民ボランティアによる運営っていう雰囲気がなんか良かったわ。やっぱ1日3つ、知らない土地で(中目黒でバスを1回反対方向行に乗ってしまって慌てたわ~)それも移動に30分以上かかる拠点を回るとなると疲れます。とはいえ、めったに来れない東京だと旅費もかかるので頑張るしかないですが。でも、この3つの展示はやっぱり集中して回った方が、3つで総合展みたいな感じでいろいろ分かっていいですよ。1日で無理なら、土日で2日かかりでも。お勧めします。

「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」を観て来た。

さて、「ウイーン三連発」の2つめは国立新美術館へ「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」を観に行ってきました。ウイーンの芸術を歴史的に古い順に体系立てて観るならば、こっちが1番手で、その後「クリムト展 ウィーンと日本1900」へ行った方が分かりやすかったと思います。ただ、上野の方が混むかなぁと思って朝イチに回しました。でも、本展も来週から学生は無料らしいです。
 この「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」ですが、展示品の数が凄いです。なのでこちらは8月末には大阪に巡回してくるし、後日大阪で観てもいいんですが、やっぱり三連発で良かったです。
 こっちはクリムト以外にいろいろ見られるところがウリです。エゴン・シーレ《自画像》は本展のポスターにもなってますが、やっぱり良かったです。観ていてミュージシャンのプリンスを思い出しました。ワタシ、ウイーン会議~ビーダー・マイアー時代~3月革命、リンク通りの開発の歴史的な関係を良く分かっていませんでした。本展で勉強になりました。リンク通りって開通してまだ154年だったのね。もっと昔からあるのかと思ってました。秘密警察の摘発を恐れるビーダー・マイアー時代は個人の楽しみしか追及できないから、ルドルフ・フォン・アルト《ウイーン、シュテファン大聖堂》のような風景画や、フリードリヒ・フォン・アメリング 《3つの最も嬉しいもの》が描かれ、リンク通りが開発されてウイーンが大都会に変貌していくブルジョワが幅を利かせる景気のいい時代に、フェルディナンド・ゲオルグ・ヴァルトミュラーの《教会に向かう道》や《バラの季節》が描かれていたみたい。「画家のプリンス」ハンス・マカルトはこの景気のいい時代に活躍し、《メッサリナの役に扮する女優シャーロット・ヴォルター》や《ドーラ・フルニエ=ガビロン》、《ハンナ・クリンコッシュ》を描く。クリムトはこの後の世代。でも、マカルトもクリムトも女性を描くのが上手よね~。クリムトのアトリエには常に複数人のモデルがスタンバってて、画家の求めに応じてすぐにポーズが取れるようにしてたっていうし。
 本展では、その後、万国博覧会の開催と日本文化の影響について展示した後、いよいよ世紀末~第1次世界大戦で帝国が滅びるまでの時代の展示に入っていきます。そこでは建築家というか都市設計のプロデューサーのようなオットー・ヴァーグナーのコーナーが設けられてました。《カール・ルエーガー市長の椅子》(本展では椅子がいっぱい出展されてます。どれも見事でオシャレな作りです)や《美術アカデミー記念ホール》に関する展示、《聖レオポルト教会(シュタインホーフ)》に関する展示が良かったです。
 その後、ようやくクリムト登場、こちらも初期の作品、素描、分離派の仲間たちの作品、分離派展のポスターとクリムト展に似た展示内容になってます。分離派の作品では、グスタフ・クリムト《パラス・アテナ》、《婦人の肖像》、マクシミリアン・レンツ《リンク通りとケルトナー通りの角》、マクシミリアン・クルツヴァイル《黄色いドレスの女性(画家の妻)》、カール・モル《朝食をとる母と子》(モルはクリムト展にも出てたけど、こっちの展示作品の方が充実してたかな)、ヴィルヘルム・ベルナック《炎》、フランツ・フォン・マッチュ《画家の子どもたち(レシとハンス)》、ヨーゼフ・エンゲルハルト《ゾフィーエンザールの特別席》、ヴィルヘルム・リスト《白と黒の絵画》、コロマン・モーザー《少女》が良かったです。
 この後、エミーリエ・フレーゲで1コーナー設けられており、彼女のことが分かるようになっています。クリムト展ではクリムトに複数いる子供を産ませた女性の内で一番大事にしていた女性、くらいの紹介しかなかったのですが、こちらでは彼女の仕事ぶりまでわかります。とはいえ、目玉はグスタフ・クリムト《エミーリエ・フレーゲの肖像》です。この作品だけ撮影可です。あと、コロマン・モーザー《フレーゲ姉妹ファッション・サロンの椅子》が良かったです。また、彼女がデザインしたドレスに着想を得て作成したドレスをCGで着られるコーナーもあります。
 後半はウイーン工房の作品展示が主になります。ダゴベルト・ペッヒエ《花瓶》が良かったです。
 終盤にやっとエゴン・シーレ登場。見るほうも大分疲れてきてます。《ひまわり》《美術批評家アルトゥール・レスラーの肖像》《少女裸像(ゲルトルーテ)》《ひざまずく裸婦》《マリア・シュタイナーの肖像》が良かったです。
 最終盤はオスカー・ココシュカが登場。《「クンストシャウ、サマーシアター」の演目、「殺人者、女たちの希望」のポスター》が衝撃的でした。
 最後に驚いたのは、アルノルト・シェーンベルクが音楽作るだけじゃなく、絵も描くと知ったことです。《作曲家アルハン・ベルクの肖像》は見事です。あとはオーギュスト・ロダン《グスタフ・マーラーの肖像》が良かったです。
 評価点は5点満点の5点です。下地となるマリア・テレジアの時代から語り始め、リンク通り開発~第1次世界大戦まで芸術の一大センターだったウイーンを紹介する展示品の数々に質、量ともに圧倒されました。

 
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「クリムト展 ウィーンと日本 1900」に行ってきた

 先週金曜日(5/31)に東京で所用があったので、一泊して昨日(6/1)、東京都美術館へ「クリムト展 ウィーンと日本 1900」を観に行ってきた。今年2019年は日本オーストリア友好150周年ということで、ウイーンに関する美術展も開かれていて、これも多分その1つだろう。問題は東京・上野と愛知・豊田の巡回のみで関西に来ないこと。豊田市美術館で観るっていう手もあるんだけど、豊田市美術館って新幹線で名古屋についてからさらに1時間以上かかるのよね。そんなんだったら、東京で観ようかと思った次第。美術展で東京遠征するのは2013年、森美術館での「会田誠展:天才でごめんなさい」以来。なかなか東京で美術展見る時間が作れません。
 昨日から学生はタダになるって聞いていたので、さらに混むとやだな~と思い、朝から上野公園へ。西郷さんと上野大仏を拝んでから開館前の東京都美術館へ。シャンシャンの日本滞在が1年半延長になった報道が効いたのか、隣の上野動物園でも開園前から行列してますな。
 開場前から並んだこともあってか、わりと普通に見られました。この前天王寺で観たフェルメール展の方が倍は混んでましたな。今日はせっかく土曜日朝から時間取ったので、実は「ウイーン三連発」をやりました。この後「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」と「世紀末ウィーンのグラフィック デザインそして生活の刷新にむけて」をハシゴしました。しんどかったですが、おかげでウイーン分離派まわりが良く分かりました。3つ1日で観てよかったです。
 で、「ウイーン三連発」のトップバッター、クリムト展ですが、すごかったです。《接吻》こそありませんが、クリムトが盛り沢山です。こんなに1度にクリムトの作品観たの初めてですわ。感動しました。《ユディトⅠ》と《ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)》だけで1部屋作って展示してたんですが、圧巻です。存在感が違いますな。もう口ポカーンとして見入るしかない。そして隣にまた分離派会館のレイアウトを模して《ベートーヴェン・フリーズ》が展示されてるんですが、これにもただただ圧倒されます。贅沢な空間ですな。この二空間だけでも東京まで来たかいがありました。その上《オイゲニア・プリマフェージの肖像》や《女の三世代》まで観られる。《赤子(ゆりかご)》を観た時には、アニメ映画「AKIRA」を思い出しました。
 本展では弟のエルンストやフランツ・マッチュと一緒に仕事を請け負っていた時代の作品から展示されています。正直言ってその時代の絵はグスタフよりもエルンストやマッチュの絵の方が好きですね。『画家のプリンス』ハンス・マカルトの作品も《装飾的な花束》などが出てたけど、マカルトは「ウイーン・モダン~」の方が充実してましたな。風景画のエリアも良かったですな。クリムトの《アッター湖畔のカンマー城III》、《丘の見える庭の風景》はもちろんのこと、コロマン・モーザーの《冬の松林》や《水辺の別荘》も良かったです。
 あと、ユリウス・ヴィクトル・ベルガー《アトリエ》が良かったです。
 評価点は5点満点の5点。堪能しました。

 

「リッキー・リー・ジョーンズ ジャパン・ツアー 2019」に行ってきた。

5月16日(木)はNHK大阪ホールへ「リッキー・リー・ジョーンズ ジャパン・ツアー 2019」を観に行ってきた。ワタシがリッキー・リー・ジョーンズを聴き始めたのは、活動を再開したアルバム『フライング・カウボーイズ』から。だからライブを観るのは初めて。開演してリッキーがステージに現れると、客席からは「Welcome back!」の掛け声が上がっていたから、客席の年齢層はかなり高い。逆にその人達が子供連れで来てるんだけど、小学男子でもリッキー聴くんだろうか?
 さて、1曲目はデビュー・アルバム『浪漫』から「Weasel and the White Boys Cool」。続けて「Young Blood」。3曲目の「Chuck E’s In Love」で最初の盛り上がり。そして「The Last Chance Texaco」。このアルバム「恋するチャック」以外はあんまり記憶に残ってないのよね。続いて『The Magazine』から「It Must Be Love」。この曲も知ってるけど、まさか初期の作品からこれだけ続くとはね。と思ってたらまた『浪漫』から「Easy Money」。え~、ちょっと待って~と思ってたところでやっと最新の『Kicks』から「Bad Company」。この曲の前のMCで "stupid" president のことをくさしたくだりでこっちは噴き出してしまった。続けて『Kicks』から「Lonely People」。『The Evening of My Best Day』から「Ugly Man」。やっと知ってるアルバムからだわ~っと思ってたら JULIE LONDON の「Cry Me A River」を演ってくれた。でもまだ『パイレーツ』から「We Belong Together」と「Living It Up」と「Pirates」。『浪漫』に戻って「Coolsville」、「On Saturday Afternoon In 1963」、最後に『Flying Cowboys』から「The Horses」と、会場から手拍子も出た「Love Is Gonna Bring Us Back Alive」。MCはほとんど無く、唄いっぱなしだったし、アンコールは無いだろうな、と思ってたら、会場の長時間に渡るアツい拍手のかいなく、やはりアンコールは無かった。しかし、徹底的にオールドファン重視の曲構成だったなぁ。『Pop Pop』からも何か演って欲しかったなぁ。
 クリフォード・ハインズ(ギター/ヴォーカル)、マイク・ディロン(パーカッション/ヴォーカル)とのトリオはすごい格好良かった。ステージ左手からパーカッション、ピアノ、ギターの配置。マイク・ディロンは「Weasel and the White Boys Cool」での木琴演奏からドラムも小太鼓もトライアングルもタンバリンも全部一人で忙しく対応。それでいて余裕の演奏。演奏中も常にリッキーの指示を伺いながら、イキもぴったり。凄すぎます。クリフォード・ハインズは一見クールなのに空調のせいかアンプの熱か、アツい演奏のせいか、水の補給は頻繁で、上着も脱ぐし、長髪はポニーテールにくくっちゃうし、終盤にかけてどんどんアツくなってましたなぁ。「矢野顕子トリオ featuring ウィル・リー&クリス・パーカー」も良いけど、このトリオもなかなかですわ。評価点は5点満点の4点。やっぱりアンコールがあるとお得感があっていいのよね。

空箱職人はるきるの個展 に行ってきた。

今日は三宮のギャラリー8まで空箱職人はるきるの個展を観に行ってきた。なんと今日が最終日。ゴールデンウィーク中に神戸でやってた「078」を観に三宮に来ていたので、その時についでに行けばよかったんだけど、このイベントやってるのを知ったのが休みが明けてから。ということで、最終日に滑り込みとなったのだ。
やはり、Twitterフォロワー25万人はダテじゃないですなぁ、最終日だからか階段を下りて外まで行列が続いてます。それから、親が小さい子どもを連れて見に来ている親子連れも多数。やはり夏休みの工作的なノリで観に来てるんでしょうかね。しかしエレベーターなしの狭い階段だけのビルに何組もベビーカーを伴う親子連れが来るのは、主催者側は想定してなかったんでしょうねー。それと入場料がドリンク制になってるところは逆に親子連れの方が慣れてなかったみたいですね。会場も狭いのでベビーカーじゃ移動が大変そうだったし。
Twitterの画像でしか見れていなかった作品が直に見られたことには満足してますが、運営面は反省点の多いイベントだったように思います。半年後に東京でやるようですが、会場や入場の点は今回の反省が活かされるといいと思います。あと、作品の保護のために囲いをつけたり、背後に作品のイメージを保護するボードがあった方がいいように思います。
ということで、評価点は5点満点の3点で。

空箱職人はるきる さんのTwitter
https://twitter.com/02ESyRaez4VhR2l?s=17

「コレクション3:見えないもののイメージ」を観て来た。

 クリスチャン・ボルタンスキーを観た後に、今日は無料ということで国立国際美術館の収蔵品展「コレクション3:見えないもののイメージ」の方も観て来た。『「死者に捧げる儀式を行うこと」が芸術家の仕事であると発言するクリスチャン・ボルタンスキーの個展に呼応するかたちで、「見えないもの」をキーワードに、 「死者へ」、「作者と」、「天空に」という3つのテーマによって当館コレクションを解読し、紹介します。』ということなんだけど、収蔵品展も何度も観ていると、テーマを変えても観たことある作品が半分近くあるので、はぁ、そうきましたか、という感じ。
 印象に残ったのは塩田千春《トラウマ/日常》(白いコートが黒い糸にがんじがらめにされている展示がステキ)、マイク&ダグ・スターン《切り刻まれたモナ》(モナリザの部分部分が立体的にコラージュされて面白い)、キキ・スミス《闇》(手前の黒い彫像もセットですよね?)ですかね。他は見慣れてきちゃいましたね。評価点は5点満点の3点で。

「クリスチャン・ボルタンスキー - Lifetime」を観て来た

 フェルメール展の後は天王寺から肥後橋へ地下鉄で移動して国立国際美術館へ。フランスを代表する作家のひとり、クリスチャン・ボルタンスキーの日本初となる大規模回顧展「クリスチャン・ボルタンスキー - Lifetime」へ行ってきました。入場料が\900の割には立派な会場案内を頂きまして、おかげで作品を観る助けになりました。暗い部屋と電球、大量の衣服や亡くなったスイス人の写真、とかいう展示物を観るとパッと見、ホロコーストに対する抗議の意味の作品なのかしら? とか思っちゃうのですが、どうやらそうではないようですね。瀬戸内国際芸術祭に展示している「ささやきの森」を連想させるような《アニミタス》という作品や、《心臓音》という作品も出展されており、まさしく大回顧展という感じでしょうかね。
 受けた印象は、全体的に「暗い」です。展示室の最初がいきなり《咳をする男》だし、1970年作とはいえ、こっちはISに拉致されて拷問される男の映像かと思ってしまいました。《その後》と《その後、ピック》も子供の写真穴を明けたものを何枚も展示してるし、前述の《174人の死んだスイス人》やら《死んだスイス人の資料》も強烈。また、黒いコートをうずたかく山のように積み上げた《ぼた山》や、そのコートを板に立てかけて中にスピーカを仕込んで観る人に問いかけする《発言する》は労働者による抗議のようにも思えるし、それぞれが歴史や記憶、死や不在をテーマとしているだけあって「重い」。《黄昏》もあと2日で会期末とうことでもう電球も4つしか点いてなくて暗いし~(だったらもっと早くに来いってか)。
 とはいえ、興味を惹くインスタレーションが多かったです。縄のれんに7~65歳の自画像を投影する《合間に》や天井から高く吊るされた布(ベール)50枚にいろいろな人物写真をプリントした《スピリット》、半透明の布に女性のイメージを透かした《ヴェロニカ》、クジラとのコミュニケーションを期待した3枚の大画面映像《ミステリオス》、宗教的なイメージが強い《モニュメント》や《保存室》のシリーズ、影絵を使った《影》には魅かれました。
 評価点は5点満点の4点。苦手な暗さもあったので。この展示観ていたら東京でやっている香取慎吾の個展も見てみたくなってきました。なんででしょうね?

フェルメール展に行ってきた

 今日は好天の下、大阪市立美術館へフェルメール展を観に行ってきた。朝からすごい人出です。人をかき分けないと絵が見えません(ちょっと大げさ)。世界に35点しか存在しないフェルメールの作品を6点観られるというのがウリなんですが、東京展では9点観られたそうですな。私も《牛乳を注ぐ女》と《真珠の首飾りの女》が見たかったですわ。大阪展では東京展から《マルタとマリアの家のキリスト》、《手紙を書く婦人と召使い》、《手紙を書く女》、《 リュートを調弦する女》、《取り持ち女》の5点と大阪展だけで公開の《恋文》の6点を展示。他に43点のフェルメールの弟子やら同時代に活躍している画家の作品を展示しており、テーマ6章建ての8展示室で構成している展示エリアの終盤3室にフェルメールを2作品ずつ展示するというフェルメールに殺到する観客に配慮した設計になっている。まぁ、フェルメールの人気を考えるとしょうがないか、こうして自分も観に来ているわけだし。
 フェルメールの作品以外で気に入ったのは、ヘラルト・ダウ《本を読む老女》(肌は色艶・皺とも繊細に描かれ、衣類の光沢、ファーの毛並みまでも詳細に表されている)、ヤン・ファン・ベイレルト《マタイの召命》(くっきりとした画面で主要4名の振舞いがよくみてとれる)、フェルメール作品と同室に展示されていたハブリエル・メツー《手紙を書く男》と《手紙を読む女》(光源・光量を10倍にした明るいフェルメールという感じ)、アブラハム・ストルク《捕鯨をするオランダ船》(漁師一人ひとりが詳細に描かれている)、コルネリス・ファン・ウィーリンヘン《港町近くの武装商船と船舶》(海の色がきれいだった)、ヤン・ウェーニクス《野ウサギと狩りの獲物》(草花やウサギの毛並みがリアル)、ユーディト・レイステル《陽気な酒飲み》(あまりに朗らかで酒類の宣伝ポスターみたい)だろうか。ヤン・ステージの道徳的な絵は好きになれなかった。あと、ビーテル・サーンレダムという画家は初めて知った。《アルクマールの聖ラウレンス教会》と《ユトレヒトの聖母教会の最西端》の乾いた画風が気に入った。
 さて、フェルメールですけど、最初の部屋の《マルタとマリアの家のキリスト》と《取り持ち女》は色彩は明るいけど、人物の手のタッチがペタっとしていて好きになれなかった。《取り持ち女》は描かれている4名の人物の表情が豊かに描かれていて、ちょっとヤラシくてよかった(子連れの来館者は親は子供になんて説明したんだろ?)。次の部屋の《手紙を書く婦人と召使い》は画面左に窓があり、こちらに向いて座る女主人が右手で手紙をしたためると、右手の影で描きづらいハズだが、フェルメールのこの手の絵は皆左側に窓があるため、こうなってしまう。一方《手紙を書く女》は窓に向いて座っているため、手の影が邪魔になることはない。途中の部屋で森村泰昌が《牛乳を注ぐ女》を再現するビデオを観たが、彼が解明したとおり、この手のフェルメールの絵は日常の場面のスナップショットではなく、あきらかに左に窓を備えたスタジオで何らかの意図を持たせた構図をモデルに演じさせて、それを画面に写し取ったのだと思う。だから意図が表現できていれば、右手の影など構わないということだろう。(だから床が黒白の市松模様の絵が多いのか?) ところで、《手紙を書く女》と《 リュートを調弦する女》はモデルも同じ娘ではないだろうか?おでこの広さや顔色が似ているし。大阪限定公開の《恋文》はそのスタジオを扉1枚向こうの奥まった空間に配することで時間を表現できているように思いましたわ。まぁ、フェルメールの絵が”6枚も”見られてよかったということですかね。評価点は5点満点の4点。入場料\1,800の割には展示物数が49点とは少なくないですか~ということで。

舞台「かもめ」を観て来た。

 今日は好天の下、兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールへ舞台「かもめ」を観に行って来た。本公演は新国立劇場が「毎シーズンに一本、全キャストをオーディションで選考、上演する企画の第一弾として、チェーホフ不朽の名作『かもめ』を上演します。作り手が新しい俳優と、俳優が新しい演出家と、劇場が新しい作り手たちと出会い、作品を立ち上げていく、小川絵梨子が芸術監督としての柱の一つとして掲げる企画です。演出には、これまで新国立劇場で数々の作品を創り出してきた鈴木裕美を迎え、6週間にも及んだオーディションを経て決定した13人の俳優たちと、小川絵梨子による新訳『かもめ』をお贈りします。」という企画で始めた公演の唯一の場外公演。なんと芸文センターで今日1公演限りってしぶちんやなぁ。東京では20近く演ったんだから、もっと演ったらいいのにねぇ。こちらとしては大人計画とか劇団☆新感線とかの劇団の公演を観ることが多かったから、「全キャストをオーディションで選考」ってのは実は初めて観るのよね。ケラにしたって三谷幸喜にしたって野田秀樹にしたってわりとワキはいつもの人材がしっかり固めてる感じがあるもんね。そういうのもあって楽しみにしてました。チェーホフの芝居は2015年3月のシアターBRAVA!でのケラの「三人姉妹」以来です。あの時は自分に合わないハナシかなぁ、と思ってたけど、今回の「かもめ」は分かりやすくて良かったです。
 まずは、会場に入って、客席の最前ブロックまで飲み込んでる舞台セットに広がりを感じていきなり興味をそそられました。実際第1幕が始まると登場人物が客席横の出入り口から現れてその広がりのあるセットのさらに前方から登壇し現れ消えて行くことで、客席との一体感というか巻き込まれ感が増して良かったです。セットの奥の湖とそこに浮かぶ満月、聴こえる虫や蛙の鳴き声で第1幕のニーナを主役にした劇中劇のオープニングは雰囲気出てたと思います。だから逆に中断の理由を硫黄臭に持って行かざるを得なかったのかもしれませんが。暗転後に現れた第2幕は日よけの傘と敷物と椅子だけのセットでしたが、ここで繰り広げるニーナとトリゴーリンの語り合いはこの芝居のヤマ場だったように思います(トリゴーリンって作家にして女優に囲われた愛人という設定なのにこんなピュアな人柄でしたっけ?ってな感じも無きにしも非ずですが)。
 朝海ひかる演じるアルカージナは絶品でしたね。第1幕から全開でしたが、第3幕でトリゴーリンをテーブルに押し倒して馬乗りになるんですから。この舞台で1番輝いていたんじゃないでしょうか?一方、第1幕では医師としての良き理解者の面から言い寄るヒトを拒めず次々と関係を築いてしまうモテ男、天宮良が演じるドールンもいい味出してたと思います。この人生を満喫する医師に嫉妬する老いた元官僚、ソーリンも佐藤正宏が第1幕からいい演技してたと思います。
 この芝居、おぼこいニーナと愛人が止められなかったトリゴーリンのラブストーリーに滑稽なまでに振り回されるコーチャ(コンスタンチン・ガヴリーロヴィチ・トレープレフ)と、メドヴェジェンコと結婚して子供を設けてもなおコーチャへの想いを断ち切れないマーシャと、トリゴーリンを手放さないアルカージナの五角関係がベースですけど、第4幕ではトリゴーリンとアルカージナはよりを戻していて、捨てられたニーナは自立しながらも地方回りの売れない女優で、マーシャは相変わらずで、驚いたことにコーチャは気鋭の作家。コーチャはすっかりトリゴーリンやニーナを見返して頑張っているかと思えば、自分に自信が持てないまま。せっかく売れっ子作家になったんなら、モスクワやキエフにでも出て一人暮らしを始めた方が良かったのかもしれませんな。第4幕のニーナとコーチャの再開シーンがこの芝居2つめのヤマ場。コーチャの終焉に上手く誘導できていたと思います。ニーナ役の岡本あずさも良かったんじゃないでしょうか?
 今回のチェーホフはワタシにも易しくて良かったです。カーテンコールは少なかったけど、評価点は5点満点の5点で。

映画「バースデー・ワンダーランド」を観て来た

 令和元年は5月1日からスタート。1日といえばファーストデー。ということで、梅田ブルク7へ映画「バースデー・ワンダーランド」を観に行って来た。原恵一監督作品は最近WOWOWで「嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」や「嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」を放映したところだし、「カラフル」も「百日紅 Miss HOKUSAI」も好きなので、今回の「バースデー・ワンダーランド」も期待して観に行った。特に本作でキャラクター/ビジュアルを担当したイリヤ・クブシノブのキレイな絵柄に魅かれたのだ。
 気になるのは松岡茉優。彼女の声を聴くのは愛のレキシアター『ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ』以来。本作では主人公のアカネの声を担当。上手いってほどじゃないけどまぁ、なんとかなってたんじゃないかしら。チィの声の杏も「自由過ぎる」雰囲気が出てたと思うし。母親のミドリの声の麻生久美子は雰囲気あり過ぎたかな。おかげで前半から何かあるお母さんだってことがバレちゃってたね。しかし、なんでプロの声優使わないのかしらね。
 絵は期待通りキレイでしたね。ワタシは王子が剣に鼻の頭と唇の先を付けてるところや前後の水切りの儀式が妙に記憶に残ってます。丸っこいデカ羊もケイトウの花畑もよかったです。猫達はフツーかな。ただ、大人が泣いたっていうには物語が浅くてね~。良かったけど泣けるほどじゃないですな、残念ながら。大錬金術師”ヒポクラテス”やら魔法使い”カマドウマ”の設定がもひとつなんですよね。ヒポクラテスが登場した時にジブリの「猫の恩返し」を連想しちゃったし。やっぱりしんちゃん2作を超えるのは難しいな。ということで、評価点は5点満点の3点です。
 さて、平成17年3月からスタートしたこのブログも900本を超え、今日から令和の時代に突入しました。今後ともご贔屓に。

韻シストpresents 「OSAKA GOOD VIBES 2019」に行ってきた

昨日は大阪城音楽堂へ韻シストpresents 「OSAKA GOOD VIBES 2019」を観に行ってきた。大阪城音楽堂に来るのはン十年振りじゃないかしら?最後に何のイベントで来たのかも思い出せない。野外フェスってのに来るのもムーっちゃ久しぶり。結婚してから初めてかもしれん(カミさんが炎天下に立ちんぼするのを嫌がるのでね~、ライブハウスでのオールスタンディングですらNGだし)。今回はゴールデンウイークなら気候も良くてそんなにしんどくないだろうと思い、なだめすかしてカミさんも同行させた次第。METROCK も5月だけど、堺まで出張るのが面倒なのでね。大阪城音楽堂は椅子もあって交通の便もいいし、今回価格も手ごろだったしね。しか~し、この価格が手ごろだったのが、受付にさく工数の不足となったか、大阪城音楽堂の構造的な問題なのか、はたまた単なる連絡ミスか、迫りくる雨雲に追い詰められたのか、チケットに14:30開演と印字されているのに、後日発表されたタイムテーブルでは14:00開演になってて、さらには開演の14:00にはまだ入場手続きが終わらない観客が多数いて、14:00からの踊Foot Works目当てで来て入場が間に合わなかった客のクレームがネットに上がってたね。ウチらは若い整理番号だったので、14時前には着席できていたのでよかったよ。やっぱ、ネット時代とはいえ、チケットに書いてある開演時刻を後から早めちゃうのは問題じゃない? とはいえ、結成21年目にして初めて野外フェスを主宰した韻シストもTwitterで「また初のイベントで 至らない点が多々あったかと思います、 今後 運営サイドとも改善点を見直して参ります。 ご迷惑をお掛け致しました、 お客様 大変申し訳ございませんでした。」って平謝りしてたし、ここは仕方ないのかなっと。
 さて、ウチらは主宰の韻シストに大好きなNulbarich、いっぺんライブで観たいと思っていた SANABAGUN. がそろい踏みとあっては行かない手はない、と思ってチケット買いに走ったので、大満足。踊Foot Worksはこのフェスが初見だったけど、今日家で早速アルバムチェックしたよ。おまけにステージのセット替えの時間に出て来るDJが素晴らしかった。DJ STYLISH a.k.a 鎮座DOPENESS はちょっとおちゃらけてたけど、流す曲が全部、ワタシの好みだったし(小用で退出するとは思わなかったが、ビール飲みすぎだろ!)、KenKen はかまやつ ひろしの「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」の使い方がオシャレで気に入った。んで、3人目のSPIN MASTER A-1が凄かった! ワタシはステージスタッフのオッさんが機材チェックで登壇したのかと思ったら、いきなりのえげつないプレイ! のっけからすっかり魅了されてしまいました~、恐れ入りました。今度からDJが出て来るイベントでは必ずチェックします。
 そいで、いっぺんライブで観たいと思っていた SANABAGUN. ですが、高岩遼のMCがなんか感じ悪くて幻滅した。岩間俊樹がリードする曲はノレたけど、高岩遼がリードする曲は座って観てた。せっかくいい曲演ってんだし、もっといい感じで演ってよね。次にSANABAGUN. の単独ライブに行くかどうかはビミョーだな。
 Nulbarichは相変わらずのダルいMC。ちゃんと喋ると事故るそうなので、控えてるらしいな。しかし、彼らのマネージャーが雨男とは知らんかった。そういや、去年のホワイトデーになんばHatchでのライブ観た時も雨模様だったような気がする。JQは雨除けのテントがあって演りにくそうだったな。
 真打ちはこの野外フェス主宰の韻シスト。その前に️BOXER JUNTARO.のライブペイント(挿入図)がステージに運びこまれたりもしたけど、SANABAGUN. のライブの途中から降り出した雨はこの頃、最高潮に達し、ステージを撮るスマホに雨が入るんじゃないかってくらい。驚いたのは手拍子してた時にふと自分の手をみたら、風呂上りみたいに指先がふやけていたこと。どんだけ降んのよ、雨。本編はDJ STYLISH a.k.a 鎮座DOPENESSとKenKen も加わって唄った「HOT COFFEE」が一番盛り上がったかな。アンコールも2曲やってくれて、「Don't worry」で大合唱になってたよ。雨が誰のせいでもないって言ってもやっぱ、それはないわ、神様。来年も「OSAKA GOOD VIBES」があるならば、それはピーカンの下で行われますように。天気と開演時のバタバタ等の運営面を差し引きまして、評価点は5点満点の3点で。
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映画「グリーンブック」を観て来た。

 今日はTOHOシネマズデーだったので、TOHOシネマズ西宮OSで映画「グリーンブック」を観て来た。マハーシャラ・アリ演じる天才黒人ピアニストがビゴ・モーテンセン演じる粗野なイタリア系用心棒を雇い、〔黒人専用ガイドブック<グリーンブック>〕を頼りに、あえて差別の色濃い南部へコンサート・ツアーへ繰り出すというロードムービー。私の中でのNo.1ロードムービーはバリー・レヴィンソン監督でダスティン・ホフマンが重度の自閉症の兄で、トム・クルーズが兄の遺産を狙う弟役という「レインマン」。この映画も可笑しかったり悲しかったりのいい映画だったけど、この「グリーンブック」もなかなかのもの。孤独なインテリ黒人にブロンクス育ちの粗野なイタリア系が雇われるという設定が映画的だけど、なんと実話がベース。黒人差別のイヤな面も描かれてるけど、運転手兼マネージャーのトニー・リップのガハハなキャラクターに救われる。まぁ、イタ公も半分ニグロって言われて我失って牢屋入りしたりもするんだけどね。前観た「運び屋」もメキシコ系と白人のこれも変則的なロードムービーだったけど、背景の異なる者同士が分かり合うには時間やイベントが必要で、それには車という緩やかな時間が流れる閉鎖空間が必要なのかしらね。
 しかし、自分の兄とかルーツ探しに南部を訪ねたんじゃなくて、勇気を試しに行ったとはね。そこだけが意外だった。てっきり兄に逢いに行くのかと思ってたよ>Dr.ドン・シャーリー。
  リンダ・カーデリニ演じる、トニーの妻ドロレスも良かったよ。エンディングがほっこりする映画でしたわ。評価点は5点満点の5点。 ま、「レインマン」のNo.1は動かないけどね。

 

愛のレキシアター『ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ』を観て来た

 オリックス劇場で愛のレキシアター『ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ』の今日3月30日13時の回(後から追加になった回)を観て来ました。同じオリックス劇場で1月に『サムシング・ロッテン! SOMETHING ROTTEN! 』を観て来たのだけど、これがあんまり満足できなかった。そこで、もう1回別のおバカなミュージカルを観てやろうと思って、チケットを入手した次第。CASTに当のレキシが出ていないからか、当日券も結構売ってた。会場はほぼ満員に見えたんだけどね。お芝居見に行くと観客が女子率が高くて男子トイレが混むことはないんだけど、今日は中休みの男子トイレが長蛇の列。結構男子の割合も高い客層。隣席のオッサンなんかは開演前も中休みでも「KMTR645」やら「狩りから稲作へ」を振りつきで口ずさんでてノリノリだし、なんかコアなファン多そう。始まる前についていけるか不安になったわ。
 さてこの公演、いわばむりくりレキシの歌を散りばめてミュージカル仕立てにしたステージ。演出はレキシ(鯖江市)と同県人のたいらのまさピコ(河原雅彦)(福井市)。河原雅彦演出の芝居はねずみの三銃士の「鈍獣」、「印獣」、「万獣こわい」の三部作しか観たことないけど、すごいわ、大した力業だわ、本公演も面白かったよ。レキシって水曜日のカンパネラの男版かよ? とか思って聴き始めたんだけど、抜群の音楽センス。素晴らしいわ。一度聴くと耳について離れないフレーズが多くて困るくらい。だからミュージカル作るにあたってどの曲を選んでも面白いだけに何を使ってどんな話にするのかも楽しみでしたわ。
 しかし、わざとそうしてるんだろうけど、舞台の転換も芝居の一部にしちゃって、笑いを取るなんて、ちょっとあざとい。八嶋智人演じるウォルト・レキシーは楽しんでやってたけど、まぁ、主役のニート、山本耕史を上回る活躍。甦りの術も楽しめました。んでもって、なんでも小器用にやってのける筋トレバカの山本耕史も大活躍。ファンはたまらんでしょうな。心配でもあり楽しみでもあったのが、舞台「江戸は燃えているか」で三谷幸喜に代役させた過去を持つ、ヒロインの松岡茉優。大阪は昼夜2公演×2日間らしいけど、ガンバってやり遂げてね。演技は頑張ってたけど、可愛さはくノ一役の井上小百合に負けてるし、歌はニートな息子の母親役の高田聖子に負けてるし、ビミョーだったかなぁ。ニートのハンドルネームから生まれたイメージが具現化した源ヨシツネ役の佐藤流司はカッコよかった(しかし偽義経が流行っているのか?)。ニート支援の明智役の藤井隆は歌は一部上ずってたところもあった気がするけど、安定の演技。代役侍の前田悟も面白かった。圧巻は腰元さんであり卑弥呼役の浦嶋りんこ。抜群の歌唱力はもちろんのこと、原始人役も似合ってました
 ステージが始まってみると、レキシファンでない観客も多くいたようで、お約束のノリにあまりついてこれない感じで、こっちはちょっと安心。それでも第2部の終盤で稲穂を振る頃にはステージも客席も大体一体化していて、まぁ楽しい芝居でしたわ。
 評価点は5点満点の4点。松岡茉優もっとがんばれ~。

大阪フィルハーモニー交響楽団 第526回定期演奏会に行ってきた。

 フェスティバルホールで23日15:00の公演を見てきました。大フィルの公演は昨年2月の第515回定期演奏会以来です。第515回の指揮は新進のアンドレア・バッティストーニ。今回の指揮はアメリカの巨匠、デトロイト交響楽団音楽監督・首席指揮者でもあるレナード・スラットキン。20世紀アメリカ音楽をよく演るヒトで、今回もアメリカ音楽を4曲。バーンスタイン/ミュージカル「キャンディード」序曲でパーンと開幕した後、本邦初演奏となるコープランド/田舎道を下って(Down the countrylane)という穏やかな小曲を演奏。ここで舞台の椅子の配置を変更し、指揮者のそばにカウンター・テナーの藤木大地を迎え、その横にはハープを2台配し、舞台奥のひな壇上に大阪フィルハーモニー合唱団が並んだところで、バーンスタイン/チチェスター詩篇が始まりました。ワタシもカミさんもこの日一番のお気に入りはこのチチェスター詩篇。ヘブライ語の歌詞は舞台上方のスクリーンに日本語訳が表示されていたものの、旧約聖書の言葉はあんまり頭に入って来ないです、やっぱり。ただただ歌声を聴いてるだけ。もちろん、最後のアーメンは心に響きましたけれど。これ聴いてて2017年の夏にここで観たバーンスタインの「ミサ」をちょっと思い出しましたわ。しかし、ハープやパーカッションはなんかえらい緊張感ありましたなぁ。合唱は美しかったです。藤木氏の歌声にも引き込まれました。バーンスタインは7月の佐渡オペラ「オン・ザ・タウン」も観る予定です。今から楽しみです。
 ところで、演奏後の拍手に応じて指揮台と舞台のそでを往復するレナード・スラットキンを観ていたら、ミニオンのところのグルー兄弟、特にドルーの方を思い出しちゃったよ。体型や雰囲気が似てるのなんの。わらっちゃいそうでしたわ。演奏中は両手を前に伸ばしてなんか握力で指揮している感じが印象的でしたな。
 そして20分の休憩後にコープランド/交響曲 第3番。こちらはバーンスタインの勧めでコープランドが最後をカットしたカット版ではなく、原典版での演奏。長らくカット版ばかりが演奏されていたため、たまたま昔に原典版の譜面を手に入れていたスラットキンが自分の譜面が誤植でないか米国の公文書図書館でコープランド直筆の譜面を確認したらしいですな。デトロイト交響楽団による原典版の録音もあるそうですわ。私もそんなエピソードは全然知りませんでした。でもね、原典版での演奏を聴くと正直なとこ、最後をカットしたバーンスタインの気持ちは分かる気がします。第4楽章の終盤にかけての盛り上がりがしつこいですもん。演奏はまあまあ良かったですが、やっぱチチェスター詩篇の合唱とオーケストラの見事な融合を聴いた後ではね~。ま、プログラムの曲順はこれでいいんですけど。
 評価点は5点満点の4点。チチェスター詩篇で終わってたら5点だったかも。5月の定演のシャルル・デュトワの指揮も見てみたいなぁ。なぜか第528回定演は平日(木・金)のみの公演なんだけど。
 

映画「運び屋」を観て来た。

 10年ぶりのクリント・イーストウッドの監督・主演作「運び屋」を、本日今年6月からの値上げが発表されたTOHOシネマズ梅田で、この前のTOHOシネマズデー(\1,100-で観られる日。これも6月から\1,200-だそうだ)に観て来た。人件費高騰が映画館にまでおよぶとわ~~。世知辛い世の中になったものよ。この映画観終わった後、インスタグラムで思わず「グラン・トリノ」以来の素晴らしさってコメント入れちゃったけど、「運び屋」が「グラン・トリノ」以来の10年ぶりの出演作だったのね、なぁんだ。素晴らしいわけだ。
 共演陣も名優揃いで、 「アメリカン・スナイパー」のブラッドリー・クーパー演じるDEA捜査官が良かったのは言うまでもなく、 「ミスティック・リバー」のローレンス・フィッシュバーン演じるDEA主任特別捜査官は「マトリクス」のモーフィアス以来の存在感かも。
 さて、クリント・イーストウッドが演じる元花き生産者アール・ストーンは古き良き?アメリカを体現したような男。家庭を顧みず仕事に生き、軽妙洒脱な振舞いで仕事仲間の人気者となり、ネット通販に敗れるまでは成功者だった。ひょんなことから実直な仕事ぶりを買われてマフィアの麻薬の運び屋を請け負うことになるのだが、マイペースな運び屋の旅がなかなか面白い。タイヤがパンクして立ち往生している「ニグロ」のタイヤ交換を手伝うシーンや、モーテルの部屋でご婦人二人を朝までもてなすところなんて、なんてイカすジー様だろう! そんなアールもDEAの締め付けに追い詰められたマフィア側の変化で追い詰められていくんだけど、それも振り切って別れたカミさんを看取りに行くところも感動もの。いやぁ、漢だわ。クリント・イーストウッドの映画を観ると漢が見られるから好きなのよ。
 評価点は5点満点の5点。文句なし。本作がクリント・イーストウッドの遺作にならないことを祈るばかり。