「JQ from Nulbarich @Billboard Cover Live TOUR 『Naked』」を観て来た。

 今日(8/13)はビルボードライブ大阪へ「JQ from Nulbarich @Billboard Cover Live TOUR 『Naked』」の1回目(16:30の回)を観て来た。ステージには、向かって左からピアノ:ヤマザキタケル、ベース:砂山淳一、ボーカル&ドラムス:JQが配置に着くと、JQのMCでスタート。台風の大雨の影響か新幹線で大阪入りする予定が急遽飛行機になって、焦った〜って言ってました。大変でしたな。
 今日のセトリはカバー曲ということで、まずはマック・ミラーの《Everybody》から。2曲めは Nuibarichの《In Your Pocket》。それってアリ?どうせならマルーン5の《In Your Pocket》をカバーしたらよかったのに。3曲めはJQが昔から好きだというジョン・メイヤーの《Waiting On the World to Change》。ここでJQの休憩タイム。《In Your Pocket》から Party tune 全開のTakeru Bill Evans, A.K.A YAMAZAKI による《On a clear day》が披露された。JQが Hip Hop をやろうとサンプラーを手に入れた時に最初にサンプリングした曲がこの《On a clear day》なのだそうだ。
 ステージにJQが戻るとセンターマイクからドラムの前に着座。5曲めのレイ・チャールズの《Hit the Road Jack》の歌詞を説明。客席の皆さんが女性側でJackがJQという設定で追い立てる感じで CLAP してくれ、とのJQからのリクエスト。5月にフェスティバルホールでの「SOUND CONNECTION 2022」でもそうだったけど、なんかコロナ下での観客との距離感をつかみかねている感じ。それともコロナ禍のせいで大阪の客のノリが悪くなってしまったのかしら? 6曲めはN.E.R.D. の《Sooner or Later》。初めて聴きました。いい曲ですね。7曲めはまたここでNuibarichの《Tokyo》。同じカバー曲ばかりのステージでも寺尾聰はアンコールまで自分の曲やらなかったけどな。8曲めは横浜から急に始めたという、ちょっと趣向を凝らして昔の固定電話の受話器に向かって話すように唄うエルビス・プレスリーの《CAN'T HELP FALLING IN LOVE》。曲の紹介でエルビス・プレスリーって知ってる?って訊くんだけど、今年は映画「ELVIS」もヒットしたのに、知らないってことはないんじゃない? まぁ、これが一番良かったかな。最後の9曲めはまたNuibarichの《Step It》。今回もここで踊らないともう無いよ、みたいなMCになっちゃってましたな。ノリノリの客は夏フェス巡るNulbarichの方に任せて、今日は終始しっとりだけど熱はあるジャジーでグルービーなJQで行きます、って割り切って演った方が良かったんじゃないかしら。ということで評価点は5点満点の3点。それからなんでアンコールないのよ。自分の中途半端を客のせいにするんじゃないよ。こりゃ、11/21のZepp OSAKA Bayside も行かないかもな。

「特別展 スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」を観て来た。

 今日は神戸市立博物館で「特別展 スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」を観て来た。ここに来るのは昨年の「特別展 東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」以来。昨年は緊急事態宣言下にええいままよと観に来たんだけど、今年は行動制限は無い。けど今、兵庫のCOVID-19の感染者は過去最高を更新中の勢い。いつになったらマスクレスで鑑賞できるようになるのかしら。
 大昔、ロンドンは行ったことがあって、大英博物館やテイト・ギャラリーとか巡ったんだけど、スコットランドのエディンバラまでは行ってないのよね。本展の「スコットランド国立美術館」とはスコットランド国立美術館、スコットランド国立肖像画美術館、スコットランド国立近代美術館の3つの美術館、パックストン・ハウス、ダフ・の2つのギャラリーとのパートナーシップによって構成される美術館群なのだそうで、そこから90点弱が展示されているらしい(神戸展は東京展より展示数が少ないらしい)。
 会場に入ると、まずプロローグゾーン。いきなりバーンとフレデリック・エドウィン・チャーチ《アメリカ側から見たナイアガラの滝》 が展示されており、みんな画面右下の虹を指さしては「ほら、虹。」とか言ってましたな。ジェームズ・バレル・スミス《エディンバラ、プリンシズ・ストリート・ガーデンズとスコットランド国立美術館の眺め》も良かったです。
 次が1.ルネサンスのゾーン。パリス・ボルドーネ《化粧をするヴェネツィア女性たち》、エル・グレコ《祝福するキリスト(「世界の救い主」)》、パオロ・ヴェロネーゼ《守護聖人聖アントニウスと跪く寄進者》が良かったです。
 2.バロックのゾーンでは、ペーテル・パウル・ルーベンス《頭部習作(聖アンブロジウス)》(じゃべりだしそう)、ディエゴ・ベラスケス《卵を料理する老婆》(料理の匂いまでしてきそう)、アンソニー・ヴァン・ダイク《アンブロージョ・スピノーラ侯爵(1569-1630)の肖像》(軍人にしては優しそう)、アダム・エルスハイマー《聖ステパノの石打ち》(細かい描写)、グイド・レーニ《モーセとファラオの冠》、フランス・ファン・ミーリス(1世)《リュートを弾く女性》(こちらも描写が細かい)、アールベルト・カイプ《ファルクホフ城の見えるネイメーヘンの風景》(こちらも大きな画角なのに描写が細かい)、ジャック(ヤーコプ)・ヨルダーンス《マギの礼拝》が良かったです。
 3.グランド・ツアーの時代のゾーンでは、トマス・ゲインズバラの《ノーマン・コートのセリーナ・シスルスウェイトの肖像》(雰囲気が松本零士が描きそうな女性。目元も髪型も全然違うけど。衣装の硬質な青がきれい)と《遠景に村の見える風景》(風景画もなかなか)、ジョシュア・レノルズ《ウォルドグレイヴ家の貴婦人たち》 (トマス・ゲインズバラと競い合ってたそうですな、肌とモスリンの白さと椅子の赤が対照的で印象深い)、フランソワ・ブーシェ《田園の情景「愛すべきパストラル」 / 「田舎風の贈物」 / 「眠る女庭師」》(なんか乙女チックですな、焼き物の絵柄みたい)、ジャン=バティスト・グルーズ《教本を開いた少年》(賢そうな子)、ジャン=アントワーヌ・ヴァトー《立っている二人の貴族と座る貴婦人の習作》(本展はいろんな画家の習作がいっぱい展示されてましたが、これが一番好きかな)、アラン・ラムジー《貴婦人の肖像(旧称「フローラ・マクドナルドの肖像」)》(意志の強そうな女性)、ジョージ・モーランド《勤勉さのもたらす快適さ》と《怠惰のもたらす惨めさ》(この2作はなんかビフォーアフターみたい)、が良かったです。
 4.19世紀の開拓者たちのゾーンでは、フランシス・グラント《アン・エミリー・ソフィア・グラント(“デイジー”・グラント)、ウィリアム・マーカム夫人(1836-1880)》(こんな淑女が愛娘だったらやっぱ嫁に行く前に描き留めて死ぬまで画家が離さなかった気分はわかりますワ)、ジョン・エヴァレット・ミレイ《「古来比類なき甘美な瞳」》(こちらも印象深い女の子。目線の先が気になります)、ジャン=バティスト・カミーユ・コロー《ラ・フェルテ=スー=ジュアール近郊の思い出(朝)》(朝の柔らかい空気感がよく表現されてます)、ピエール=オーギュスト・ルノワール《子どもに乳を飲ませる女性》(落ち着いた感じ)、ヘンリー・レイバーン《ウィリアム・クルーンズ少佐(1830年没)》(堂々たるイケメンと馬の尻)と《アン・アースキン、エドモンストンのジョン・ウォーコップ夫人(1740-1811)》(やさしい光が当たっている感じがすてき)、デイヴィッド・ウィルキー《結婚式の日に身支度をする花嫁》(花嫁と周囲の女性や子供1人1人の所作や表情がいい)、ジョン・マーティン《マクベス》(渦巻く岩肌と雲がSF小説の挿絵のよう)、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 《トンブリッジ、ソマー・ヒル》(カナカナと蜩が鳴いてそうな夕暮れ)、ジョン・コンスタブル《デダムの谷》(隣のターナーの風景画に比べるとこってりした感じ)、 ウィリアム・ダイス《荒野のダビデ》(羊の描写がすき)と《悲しみの人》(土と岩肌が美しい、まぁ、イエスもいけてるけど)、ジョージ・ハーヴィー《グレンファロックの景色》(荒涼とした感じがいい)、エドウィン・ランドシーア《荒野の地代集金日》(イングランド軍から隠れて様子をうかがうスコットランドのレジスタンスの下に、安全のためか背広の下に甲冑を付けた集金人が来て帳簿をめくっている、というシチュエーションが謎だわ、人物描写は見事だけど)、エドゥアール・ヴュイヤール《おしゃべり》(ぼってりした感じ)が良かったです。
 評価点は5点満点の5点。総じて肖像画、人物画が名品揃いでしたね。今後はもっとスコットランド出身の画家もみていくようにします。

「ミケーレ・デ・ルッキと未来を共有する建築」を観て来た。

 今日はデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)へ、ミケーレ・デ・ルッキと彼が主宰する建築スタジオAMDL CIRCLEによるリサーチプロジェクト「EARTH STATIONS」の全容を日本で初めて紹介する展覧会「EARTH STATIONS by AMDL CIRCLE ミケーレ・デ・ルッキと未来を共有する建築」を観に行って来ました。本イベントは多分、2年前くらいから企画されていて、CIVID-19に振り回されて何度かの延期を経てようやく開催されたものと記憶してます。待ち焦がれてましたわ。できれば7月18日のミケーレ・デ・ルッキと藤本壮介のトークセッションに行きたかったけど、延期延期でKIITOのサイト観に行くの怠っているうちに気付けば募集が締め切られた後だったのよね、残念。
 KIITOへはコロナ禍になってからは足が遠のいていて、2019年11月の【GOOD DESIGN TALK】グッドデザイン連続講座に来て以来。なんか知らない間に神戸市の三宮図書館が中央区役所の隣から引っ越ししてきてるし。(しかし区役所の横から神戸税関の向かいってえらい辺鄙なところへ移転してきたもんだわ、区民のみなさんは反対しなかったのかしら?)他はあんまり変化ないかしら?なんか空きスペースが増えてる感じがするけど。図書館はイマドキの図書館ってこんな風なのかしら?という感じでオシャレな感じでしたな。まぁ、遠くに越したんだし、このくらい付加価値ついてないとね。
 さて、展覧会の方ですが、3つのゾーンにテーマ毎のパネルと対応する模型の展示と1つのディスプレイを置いての動画再生。まぁ入場無料だし、そんなに過大な期待はしていませんでしたが、こんだけ!?ってのが正直な感想。動画から受ける情報が一番豊富だった気がします。緑地のポスターに花のように散りばめられていたのがその数々の模型の上面図。現在神戸で進行中の旧六甲山ホテルを六甲山サイレンスリゾートとして生まれ変わらせるプロジェクトでも敷地に大きなリング状の建屋を建てようとしているところみたいで、そのパネルもありました。ホームページの挿絵にもなっている《Crown Station》もそうだけど、AMDL CIRCLE っていうだけあって、環状の建物が多いですな。環状の建物は好きですが、輪の中をショートカットできない建物は急いでいる時に困りますね(ショートカットしなきゃならんほどの余裕の無さの方が問題なのか?)。他にも学校や集会場などの巨大な公共スペースのパネルや模型がいろいろ展示されていて、その構造も目的に合わせてアクセントが付けられているし、熱帯・砂漠・北極圏・温帯などの気候に合わせて使う建材も工夫されているし、イメージを刺激されて面白かったです。
 《World Station》や《Gold Community》みたいなのはコンセプトは分かりますが、ザハ・ハディッドの建造物みたいで、果たして建てられるのか、建ったとしてもコンセプト通りに活かせるのかの実現性が気になりますね。個人的には《アトリエ・ステーションズ》や《スィート・スイート・ステーションズ》のような個人の再生や個人向けホスタビリティに富む小さな建物のコンセプトの方が今っぽくて好きでしたね。
 動画を流すディスプレイの前には《Bisonte Stool》が置かれていて、この椅子は気に入りました。座ると背筋が伸びますね。積み重ねた様子はカワイイし。《Layout Desk》はこのリモートワーク流行りの今にはもってこいです。
 評価点は5点満点の3点。彼の提案する構造物はショッピングセンターやアートセンターとかスポーツセンターとか「~~センター」と呼ばれる構造物には向いているけど、ここに職住空間も階層構造で一体化した空間は果たしてうまく運用できるかどうか疑問です。昔のムラ社会のように職住が地域内で完結していてサスティナブルだった時代ならまだしも、ITを通じてグローバルにヒトもモノも情報も結びつくことができる今、大きな「~センター」が本当に必要なのかどうか疑問ですわ。箱物行政をやってる自治体には嬉しい存在なのでしょうけど。
 

大阪フィルハーモニー交響楽団 第560回定期演奏会 に行ってきた

 昨日(7/23)フェスティバルホールへ大阪フィルハーモニー交響楽団 第560回定期演奏会 を聴きに行ってきました。大フィルの定演は昨年の第552回以来。今年はソワレ・シンフォニー Vol.17、「Le coffre à musique ~音楽の宝石箱~Ⅰ」とザ・シンフォニーホールでは2回聴いてますがフェスティバルホールははじめてですわ。
 指揮はユベール・スダーン。こちらもお初にお目にかかります。むっちゃ楽しそうに指揮しますね。時々掛け声も入りますし。
プログラムはまずユベール・スダーンがお好きなシューマン(マーラー編)が2曲。「マーラーはシューマン読みの天才」なのだそうです。

①シューマン(マーラー編)/「マンフレッド」序曲
②シューマン(マーラー編)/交響曲 第1番 変ロ長調 作品38「春」
 どちらもきれいに演奏されてましたけど、眠かったです。「マンフレッド」序曲の時と交響曲 第1番の時で別のティンパニを使ったのはなぜなんでしょうか?

③ブラームス(シェーンベルク編)/ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 作品25(管弦楽版)
 こちらの曲はすごい面白かったです。寝ることなく最後まで聴けました。パーカッション(木琴・鉄琴・ドラム・トライアングル・シンバル・タンバリン・大太鼓・ティンパニ)が大活躍してましたね。クラリネットやトロンボーンがこんなに魅力的な曲だとは知りませんでした。クラリネットを習いたくなるくらいでした。

 評価点は5点満点の4点。③が良かったので。

白洲次郎生誕120周年記念特別展「白洲次郎・白洲正子-武相荘折々のくらし」を観て来た。

 今日2つめはお隣の神戸ゆかりの美術館で『白洲次郎生誕120周年記念特別展「白洲次郎・白洲正子-武相荘折々のくらし」』を観て来ました。こちらもそこそこの人の入り。ちなみにワタシは「伊勢谷友介」の世代。次郎も正子もかっこよかったね、あれから白洲次郎・白洲正子に興味を持つようになりました。
 展示内容は二人の愛用品や史料、武相荘の所蔵品。展示ボリュームからしてなんで山下清展より入館料が高いのかは納得できないです~。もしかしたら《1924年製ベントレーXT7471》の展示費用の負担なんでしょうかね(ベントレーの展示は8/14までだそう)?
 展示品で気に入ったのは、《伊万里染付唐草文大皿》、《源氏物語湖月抄》、《デルフトジョッキ》、北王子魯山人《有平縞湯呑》《錆絵鳥文皿》、《平戸染付縞文手桶形花入》、特に着物がよくて《紺紬地金箔吹寄文着物》、《能装束風着物、帯》、立花長子《型染蝶幾何学文羽織》、《結城紬着物》、《越後上布着物》、《小千谷縮着物》、関口信男《水鳥文着物》、《藍地琉球絣にインカ柄半幅帯》、《白地綿薩摩着物》、《手描ロウケツ染帯》、井出孝造《有平縞更紗帯》、《藍地織刺子風帯》、吉田英子《刺子半纏》、《芭蕉布着物》は見とれました。
 永六輔にも贈ったという白洲次郎《竹製靴べら》も良かった。でも立って使う長い靴ベラは苦手なのよね。
 他の収蔵品では《渥美壺》《古染付九曜文鉢》《二川松文大鉢》《スリップウェア皿》《瑠璃色ガラス鉢》が良かったです。
 評価点は5点満点の3点。白洲次郎が政治に関わっていたころの資料とかも出てましたが、なんかなぁ、どこに重点があるのかわからない展示でしたな。
 

「特別展 生誕100年 山下清展ー百年目の大回想」を観て来た。

 今日は六甲アイランドで2つ観ることにした。まずは神戸ファッション美術館で「特別展 生誕100年 山下清展ー百年目の大回想」を観て来ました。やっぱり人気あるんですね、先週の兵庫県美の「関西の80年代」展に比べてすごいお客さんの数。ワタシは「芦屋雁之助」の世代ですが、「塚地武雅」世代やもしかしたら「小林桂樹」世代も来ているような賑わいです。
 ルンペンって単語を久しぶりに見ました。本人は放浪者とか浮浪者じゃなくルンペンって称していたんですね。本展のポスターになった絵はワタシはフリーダ・カーロの自画像でも模写したのかと思ってたら、ゴッホ《ラ・ムスメ》だったんですね。貼絵もここまでくるとすごいです。本展は大回顧展ということで、子ども時代の鉛筆画から晩年の陶磁器への絵付けや遺作となった東海道五十三次の版画まで展示されてます。
 気に入った絵は初期の作品では、材料難で古切手で作った貼絵《ともだち》、銀杏の黄色が鮮やかな《八幡様の鳥居》、印象派の絵画のような《園芸作業》《田舎の風景》、静物画では《ゆり》と《栗》、花々を移り渡るハチまで描いた《菊》、荒々しい迫力を感じる《高射砲》が良かったです。
 ルンペン時代の貼絵では《遠足》、気に入ってポストカードもかった《神宮外苑》、まるで押し花のような《アキノキリンソウ》、《金せん花》、影と艶を感じる《もくれん》、洋画の人物画を研究した《自分の顔》、彼の代表作の1つ《長岡の花火》は川の水面に映る方の花火も両岸にひしめく観衆の表現もステキで、花火の周りの星々が貼り方の影響か、♪や♫に見えて、音まで聞こえるようでした。あとは《学校付近の景色》、《桜島》はこんなに桜島って美しかったっけ?って思い返すくらいよかったです。《桜島》はペン画も染絵も良かったです。
 油絵もやってたとは知りませんでした。構図が面白い《群鶏》と、ゴッホの《花咲くアーモンドの木の枝》に着想を得たんじゃないかと言われる《ぼけ》が良かったです。しかし《ぼけ》の方は近くで観ると厚ぼったいですね。
 マジックペンの会社から大量にマジックペンをもらったのをきっかけに始めたペン画の方では《杉並の大聖堂》《大谷の平和観音》《昇仙峡》《養老の滝》《与賀神社》が良かったです。兵庫びいきをすれば《夙川風景》《南京町》《はまごう》も入れておきますか。
 タレント活動が忙しくなって貼絵の新作が減ってきていたようですが、技術は向上したそうで《グラバー邸》《ソニコンロケット》、ヨーロッパ視察後に描いた《ハイデルベルクの古城》《パリのサクレクール寺院》、チューリッヒを描いた《スイスの町》、これも彼の代表作であろう《ロンドンのタワーブリッジ》は素晴らしかったです。
 ペン画やペン画に水彩で着色した水彩画では《パリのエッフェル塔》(←こいつはポスターを買いました)、《パリの凱旋門》、《ストックホルムの市役所》、《ストックホルムの夜景》が気に入りました。
 陶磁器への絵付け作品では《ヨーロッパの壺》、《ベニスのゴンドラ風景》、《指描き模様の皿》が気に入りました。
 評価点は5点満点の5点。なんか2017年の「わだばゴッホになる 世界の棟方志功」展を思い出しましたね。

佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2022「ラ・ボエーム」を観て来た

 昨日(7/17)は兵庫県立芸術文化センターで毎夏の芸文センターの風物詩、佐渡裕芸術監督プロデュースオペラを観に行ってきました。今年は一昨年COVID-19で開催延期となった「ラ・ボエーム」。昨年の「喜歌劇メリー・ウィドウ」では桂文枝師匠に大いに笑わせてもらいましたが、今年はハッピーエンドとはいかないストーリー。詩人のロドルフォ(リッカルド・デッラ・シュッカ:テノール)、画家のマルチェッロ(グスターボ・カスティーリョ:バリトン)、音楽家ショナール(パオロ・イングラショッタ:バリトン)、哲学者のコッリーネ(エウジェニオ・ディ・リエート:バス)、という共同生活を送る貧しい4人のボエーム(ボヘミアン=自由な芸術家)に、「グリゼット」のミミ(フランチェスカ・マンゾ:ソプラノ)、ムゼッタ(エヴァ・トラーチェ:ソプラノ)が加わって、ロドルフォ&ミミ、マルチェッロ&ムゼッタの恋を軸に物語が展開する。ここに4人の住処の大家であるベノアとムゼッタのパトロンである議員アルチンドーロの二役で登場するロッコ・カヴァッルッツイが主たる出演者で、さすがに皆さん上手いです。3階席で観てましたが、全然問題ありません(当たり前か)。
 さらに映画「ヒューゴの不思議な発明」のセットの作り手でもあるダンテ・フェレッティのセットが素晴らしくて、1幕の4人の住処はなんと陸揚げされた船。マルチェッロは舳先で寒さに手をかじかませながらセーヌ河畔の景色を描いています。寒さに耐えかねたボエーム達はロドルフォのボツ原稿をストーブにくべて暖をとる始末。船なのにボイラーじゃなく普通のストーブが部屋にあるのが、なんともはや、って感じですが、陸揚げされてずいぶん経つのでしょうね。面白いセットです。ここはやはり、ロドルフォとミミの出逢いのシーンと2人の二重唱が印象的でした。
 2幕のカフェ・モミュスは典型的な社交的なカフェの雰囲気。始めは外壁を下した状態で店外の喧騒を演出していて、ひょうご「ラ・ボエーム」合唱団とひょうごプロデュースオペラ児童合唱団がクリスマス・イヴに浮かれる街の雰囲気を上手に歌い上げていましたね。パルピニョール(清原邦仁)も児童ソリストの村上宝も良かったです。後半は外壁が上がって店内の様子が全開になるのですけど、ここでのムゼッタとマルチェッロのかけ合いは楽しかったですね。アルチンドーロはもっと目立っても良かったかも。
 3幕はアンフェール門とそのそばに店を構えるキャバレーと、その前の広場。アンフェール門には市外からパリに持ち込まれる物品に課税するための徴税吏(下林一也)が門番をしていて、市中に入ってくる人の篭の中身とかチェックしています。カフェ・モミュスの物売り(島影聖人)や軍曹(時宗務)といい、いろいろと小芝居をやってくれるヒトがいて、これも面白いですね。ここではミミと別れたがるロドルフォの真意は分かるのですが、ムゼッタと「看板画家」のマルチェッロも別れちゃうし、四重唱「さようなら、愛の夢よ」にはひきこまれましたが、あんまり好きなシーンではありませんね。
 4幕は再び4人の暮らす船。しかし、ベッドはムゼッタに連れられて入ってきたミミが横たわったこの1つしかないんですが、みなさんどこで寝てたんでしょ?下の船倉かしら?ミミを想うみんなの善意(特に外套に別れを告げるコッリーネが良かったです)のかいもなくミミの絶命で物語がパタっと終わります。ほかの3幕にくらべて4幕がグワーっとミミとロドルフォで歌い上げるわけでもなく、現実的な終わり方をするってのが、なんかオペラらしくない気がしましたね。ここがプッチーニ「ラ・ボエーム」のいいところらしいのですが。
 評価点は5点満点の4点。歌い手も兵庫芸術文化センター管弦楽団の演奏も佐渡裕の指揮も良かったですが、今回観て分かったことは、多分、ワタシは「ラ・ボエーム」みたいな話があんまり好きじゃないんだと思います。
 来年はモーツァルトの「ドン・ジョバンニ」。ロレンツォ・ダ・ポンテ台本作は「フィガロの結婚」も「コジ・ファン・トゥッテ」もすでにやってるのでこれでコンプリートってことですかね。もちろん、来年も観に行きますわ。

兵庫県立美術館 開館20周年「関西の80年代」展 を観て来た。

 今日は兵庫県立美術館 開館20周年「関西の80年代 Kansai Contemporary Art of the 1980s」を観て来ました。まぁ、原田の森ギャラリーが兵庫県立近代美術館だった頃、「アート・ナウ」をやってた頃の勢いのある関西アート・シーン、メセナの名のもとに企業がガンガン現代アートにオカネを投下していたころの作品の一部をお見せしましょう、という企画展ですね。1980年代なので、昨年京都京セラ美術館で観た「平成美術:うたかたと瓦礫デブリ 1989–2019」展のさらに前の時代の作品が並びます。オープニングの年表のパネル観てたら「平成美術~」を思い出しました。この導入部分は「平成美術~」の方が良かったですね。しかし作品自体は平成の30年間よりもこの関西アート・バブル期の方が勢いがありますね。まず3階の会場に向かう階段ホールには藤浩志《こいのぼりくんの一生》が出迎えてくれます。中庭には《はにわ物語》も出てます。
 本展ですが、北辻良央の作品が多く出ていましたね。北辻良央の作品は全然見たことが無かったので、今回観られて良かったです。いっぺんに好きになりました。《WORK-RR2》、《蛹》、《旅人と水守》、《明るい過去》、《午睡》とどれも良かったです。
 森村泰昌の作品は大阪の方が充実している気がします。《肖像(ファン・ゴッホ)》《肖像(泉1,2,3)》、赤松玉女との共作《男の誕生》は良かったです。
 川島慶樹の作品もちゃんと見たのは初めてかも。《Three Flamingo Pinks》、《Yellow Vacation Ⅰ》が良かったです。
 ほかの作品では、北山善夫《言い尽くせない》、福嶋敬恭《ENTASIS》、石原友明《約束Ⅱ》、吉原英里《M氏の部屋》、中西學《THE SUPER PALACE》、池垣タダヒコ《series "old melancholy"「胡鯨」》、田嶋悦子《Hip Island》が良かったです。
 絵画では飯田三代《SURVIVE》、河合(田中)美和《5月の陽気》、松尾直樹《Heavy Corpus》、安井寿磨子《桜》、山部泰司《咲く力Ⅰ1987-7》《咲く力・変化Ⅰ》が良かったです。
 でも本展のNo.1は KOSUI+ANDO(小杉美穂子・安藤泰彦)《芳一-物語と研究》のインスタレーションですかね。ジワジワと怖いです。評価点は5点満点の5点。やっぱワタシはこの時代の作品が大好きみたいですね。次は1991年の「芸術と広告」展のリバイバルが観たいなぁ。

舞台「ドライブイン カリフォルニア」を観て来た

 昨日(7/9)舞台「ドライブイン カリフォルニア」を観にサンケイホールブリーゼへ行ってきました。17時の回を観て来た。大人計画の芝居は昨年の『キレイ―神様と待ち合わせした女―』の再演を観て以来です。本作も3度目の再演だそうですがワタシが観るのは初めてです。
 我孫子アキオ(阿部サダヲ)とマリエ(麻生久美子)の兄妹が主役。「ドライブイン カリフォルニア」を経営するアキオ、芸能プロダクションの若松(谷原章介)に歌手としてスカウトされ東京に旅立ったものの、事業に失敗した夫に自殺され夢破れて13年振りに息子ユキヲ(田村たがめ)を連れて実家に戻ったマリエ、に加え、アキオの許嫁で視力3.0で水商売女のマリア(川上友里)、住み込み店員のエミコ(河合優実)とその元夫の大辻(皆川猿時)、若松の妻クリコ(猫背椿)との駆け落ちに誘われたおもちゃ屋のヤマグチ(東野良平)、もう20年くらい住み込みで働くアキオと腹違いの弟ケイスケ(小松和重)、というにぎやかな脇役陣で構成されています。
 初演と再演の知識無しで観ていて、クリコ役って片桐はいりがぴったりだよなぁ、と思いながら見ていて、後でネットで調べたら初演と再演は片桐はいりだった。やっぱそうだよね。マリエ役も初演と再演は秋山奈津子。それもしっくりくる。もちろん、猫背椿も麻生久美子も好演してましたが。アキオも再演時は小日向文世だったのね。こちらは見事に阿部サダヲ版のアキオが出来上がっている気がしました。
 一番面白かったのは大辻の紙芝居のシーンかな。終盤マリエを励ますシーンといい、結構美味しいところ持って行きましたよね、皆川猿時。谷原章介演じる若松は谷原章介が堂々としてい過ぎて、屈折感が足りなかったかな。2番目に面白かったのはマリアとマリエとエミコとクリコがハモるところかな。2回目の花咲か手品のところが竹の花とは気づきませんでした。ここはやられた~って感じ。
 ずっとドライブイン カリフォルニアの1階の食堂のセットで、マリエが東京に行く前と帰ってきてからに時間的なシーンは分かれるけど、一幕もので大きな場面展開もなく、すごく見やすくて、ツッコミどころ満載なところも面白い観ていて楽しい芝居でした。
 評価点は5点満点の4点。今回のメンバーもみな好演してましたけど、キャスト的には2004年再演時のキャストで見てみたかったかな。

映画「エルヴィス」を観て来た

 昨日はファーストデーだったので、終業してからMovixあまがさきで映画「エルヴィス」を観て来ました。監督はバズ・ラーマン。このヒトの映画で映画館で観たことあるのはニコール・キッドマン主演の「オーストラリア」以来。ブログ読むとこのときの評価は低い。なので忘れてたよ、この監督。でも「ムーラン・ルージュ」の監督だし、ステージものは期待できそう、と思いながら観に行きました。期待は裏切りませんでしたね。見事なステージ。エルヴィス・プレスリー役はオースティン・バトラー。よく研究していてそっくりです。メンフィスの黒人が多い集落で暮らす時代の子役の方も魅力的でしたな。エルヴィスのルーツがブラック・ミュージックだということもよく分かるようになっています。黒人のように唄える白人の男の子、という感じでローカルで話題だったエルヴィスをマネージャーを買って出たトム・パーカーがRCAレコードに移籍させて成功に導いていくんですが、このトム・パーカーを演じるトム・ハンクスが憎たらしいほどの好演。エルヴィスの物語なんだけど、主役はトム・パーカーでしたね。卑猥な腰つきでブラックがルーツの曲を歌うエルヴィスが大人達に排斥されて、冷却期間を設けるために3年間の兵役に就く間に薬と酒に溺れた母親を失う一方、10歳下のカワイ子ちゃんと恋愛するなどして、除隊して帰ってくるとパーカーの選ぶ曲を歌い、選ぶ仕事をする、ということで固定ファンにはウケても一気に過去のヒトになっていく。パーカーを遠ざけ初期のヒット曲を作ったプロデューサー達と再び組んで原点回帰を果たしてヒットを生み出し海外ツアーも目論むものの、契約を盾にパーカーとは妥協を余儀なくされる。その妥協の産物が1969年のラスヴェガス/インターナショナル・ホテルの公演。この目玉の欲しかった新興ホテルの定期上演を好条件で契約し巨額の富を得たいパーカーと、ワールドツアーの出し物として、ジ・インペリアルズとザ・スウィート・インスピレーションズの2つのヴォーカル・グループ、フル編成のオーケストラ、TCBバンドらとの構成で、新しいパフォーマンスを事前に完成させたかったエルヴィスとの利害が一致した奇跡の公演。この映画のハイライトもここでしたね。しかし、ここまででまだ2時間しか経っていません。ここから長々とエルヴィスが堕ちていくシーンが展開されます。この後は観ているのもなかなかツライ。死ぬところはナレ死だったのだけが救いでしたね。
 評価点は5点満点の4点。エンドロールが美しくて見とれました。B.Bとかブラック・ミュージシャンとの絡むシーンも良かったし、エンドロールが美しくて見とれました。でも、ステージばかりじゃなく映画『ブルー・ハワイ』で《Can't Help Falling In Love》を唄うシーンとかも観たかったなぁ。

冨田依津子個展を観て来た

 「京阪神ニューウェーブ鼎談」の後に本展観るには時間が足りない感じだったので、兵庫県立美術館ギャラリー棟3階でやってた冨田依津子個展を観て来た。洋画・日本画・焼き物といろいろやっているみたい。
 個人的には掛け軸の日本画の《富士山》《青の鳥》《菖蒲》《雄鶏》、額装の日本画の《牡丹》《流鏑馬》《童子》、油絵の《ニューヨークの子供達》《子供の夢》《泣かないで》が良かったかな。焼き物は気になる作品は無かった。
 他にお客がいなかったので、受付にいた冨田依津子氏ご当人とも少し話した。モナコを拠点にしているそうで、日本語のやりとりが少しおかしかったけど、洋画をやりながら陶芸もやり、そのあい間に気持ちを整えて墨をすって日本画を描くとか、エネルギッシュだなぁと思いましたわ。
 評価点は5点満点の3点。個展のポスターが5年前の使いまわしとかダメでしょ。そこはちゃんとしましょうよ。

「京阪神ニューウェーブ鼎談」を観に行ってきた。

 今日は兵庫県立美術館へ「兵庫県立美術館 開館20周年 関西の80年代」の関連イベント、「京阪神ニューウェーブ鼎談」を観に行ってきた。本展の方はまだ観ていない。チケット買っただけ。本展の方はまた今度ね。
 このイベントはミュージアムホールに出品作家から山部泰司氏、福田新之助氏、杉山知子氏の3名に来てもらって対談してもらう、というもの。山部と杉山は京都市立芸術大学出身、福田は大阪芸術大学出身だが、同世代ということで関西の若手作家によるグループ展「イエス・アート」「イエス・アート2」(ギャラリー白で開催)を企画・出品したメンバーという共通点があり、対話の内容もそのあたりが中心。80年代前半までは美術界にはニューヨーク辺りから発信された流行があり、それに乗って作品が量産されていた。その下の世代の彼らは自分たちが新しい行の主役になるべく作品を作り続けていたみたい。でも上の世代は産みの苦しみを味わいながら創作していた一方、彼らは創作を楽しんでいた、80年代は何をやっても良かった時代らしい。「メセナ」の名のもとに企業側も現代美術に惜しげもなく金を払ういい時代だったということのようだ。そんな80年代は100人が100人、別々のことをやっいるので80年代とはこんな時代、という風に括り難いらしい。また、まだネットが発達していなかったので、実際にアーティスト同士が実際に会って交流してグループ展とかを盛んに企画していたし、「西高東低」の流れもあって、関西で展示をやってれば東京からも名のある批評家等が見に来てくれる、というまぁ、アーティストにとってはいい時代だったということですね。
 今じゃネットが発達したせいか、そういう動きも低調で、関西画廊も力を失っているみたいですし、なんか美術界にもブレークスルーが必要な感じがしましたね。
 評価点は5点満点の3点。本展を企画した学芸員の仕切りで催された企画なのに、ずっと山部氏に司会させておくとか、講演者に甘えすぎでしょ、もっとちゃんとトークショーとして仕切ってください。

「西宮で観る至高の美術 和泉市久保惣記念美術館展」を観て来た

 今日は西宮市大谷記念美術館へ「西宮市大谷記念美術館開館50周年記念・和泉市久保惣記念美術館開館40周年記念交換展 西宮で観る至高の美術 和泉市久保惣記念美術館展」を観に行ってきました。このイベントに来るまで和泉市久保惣記念美術館というのが在るのを知りませんでした。和泉市は桃山学院大に2回ほど行ったことがあるだけで、全然知らない地域なんですよね。
 和泉市久保惣記念美術館は『泉州有数の企業であった久保惣株式会社より美術品や土地建物その他の寄贈を受けて、1982年に開館した和泉市立の美術館です。』ということで、最初の展示室ではたくさんの中国の青銅器。《青銅 菩薩立像》、《青銅鍍金 蛙形硯滴》、《青銅金銀象嵌 絡龍鳳凰文琵琶形帯鉤》、《青銅 羽状地四山文鏡》、《青銅 「煌丕昌天」渡海図八稜鏡》、《青銅 「王氏作」方格規矩四神神獣文鏡》が良かったです。
 2つ目の部屋は中国絵画。定静堂コレクションの名品はどれも素晴らしかったですが、特に挙げれば《秋山逸居図》、《巌谷春光図》、《國色國香図・雲根菊花図》、《花卉画冊》が良かったです。あとは「怡園画社」の他のメンバーの絵を見てみたいです。
 3つ目は日本絵画。ここはやはり伊藤若冲が相国寺の大典和尚と淀川下りをした折りの感興を和尚の歌を載せて絵画化した《乗興舟》が良かったですかね。NHKのテレビドラマ「ライジング若冲」の中村七之助(若冲)と永山瑛太(大典和尚)の船くだりのシーンを思い出しました。あとは《古画写図貼交屏風》や《書画百扇貼交屏風》のようなミニチュアダイジェスト版みたいな屏風が、いかにも日本人の好みに合った趣向ですよね。
 4つ目、最後の部屋は浮世絵。葛飾北斎の《春興五十三駄之内》、狂歌の載った風景じゃなく風俗を奉書刷りで作成した逸品が良かったです。
 和泉市久保惣記念美術館の紹介ビデオを見ると、本館・新館、研究施設に市民用の工房まで備えた大きな施設。国宝や重文もいっぱいお持ちのなかなかうらやましい施設みたいですね。1回訪れてみたいです。
 評価点は5点満点の4点。国宝とか重文の陶磁器も見たかったです。

映画「PLAN75」を観て来た。

 昨日はMovixあまがさきで映画「PLAN75」を観て来た。倍賞千恵子の主演映画を映画館で観るのは多分初めて。オープニングの高齢者を襲った若者がその猟銃で自殺するシーンって要るかしら? それだったら、せっかく長編映画化したんだし、大勢の高齢者と若者がデモで街頭で衝突しているシーンを撮るなり、もっと社会が高齢者への社会負担で殺伐としている感じを出したらいいのに、高齢者を襲う事件が頻発してPLAN75法案が可決したなんて、動機付けが弱い。最近一人で自殺できなくて公共機関で無関係の人々を道連れにする事件が起きているけど、そんな若者に手を差し伸べる法律なんて1つも起案も成立もしてないじゃん。PLAN75の動機付けなんてナレ死みたいにニュースアナウンサーに語らせたら済んじゃうじゃん。ってことでオープニングでちょっと盛り下がったのよね。
 倍賞千恵子演じる角谷ミチはホテルの清掃係。同僚の女性高齢者4名で仕事上がりはつるんでいる模様。そこにもそっとPLAN75が忍び込んでくる。磯村勇斗が演じる岡部ヒロムは市役所のPLAN75申請の受付係。なのに、公園のベンチにホームレスのヒトが寝られないようにベンチの真ん中に付ける手すりのデザインを決める係もしている。公園や緑地の管理とPLAN75のような福祉制度の係は別の課のような気がするが、何かの効果を狙ってか、岡部ヒロムにやらせている。オープニングに続いてこれも謎のシーンの1つ。河合優実が演じる成宮瑶子はPLAN75に申し込んだ高齢者に措置が施されるまでの期間、対象者からの問い合わせや1日15分以内で対象者のお話しに付き合うコールセンターの係。対象者の不安を取り払い「やっぱ死ぬの止める」と言い出さないように導くのが役目だ。コールセンターの係は対象者に直接会ってはならない、との決まりを破ってミチと会ってしまい、心が揺れる。ヒロムも20年以上生き別れていた叔父がPLAN75の申し込みに来たことで心が揺れる。その結果瑶子は行動しないが、ヒロムは行動してしまう。対象者と血がつながっているかどうかの差かしらね。
 さて、この未来版「楢山節考」、システマティックでよくできている。対象者の身に着けていた身の回りの物や貴金属などの処分シーン(ステファニー・アリアンと串田和美が好演)観てたらアウシュビッツを連想しちゃったわ。ステファニー・アリアンが演じるマリアは本国(多分フィリピン)の子どもの心臓病治療費を稼ぐために、PLAN75の措置院に勤務し、やはり心が揺れて、ヒロムの行動に手を貸す。
 映画を観ていると、こちらにとっての過去の年代を生きるヒロムや瑶子やマリアよりも、こちらの近い将来(映画のニュースでは65歳まで前倒しする予定って言ってたしな)を生きるミチや稲子やヒロムの叔父(たかお鷹)の方に肩入れしてしまう。だからこの映画、観てると怖い。さて、私が75歳になる頃にはせめて安楽死の選択権ぐらいは手にすることができるでしょうかね?
 評価点は5点満点の3点。コンセプトは面白いし、倍賞千恵子は好演してるけど、もうひと工夫欲しかったわ。

「Le coffre à musique ~音楽の宝石箱~Ⅰ」を観て来た。

 一昨日(6/10)の晩は、ザ・シンフォニーホールで「Le coffre à musique ~音楽の宝石箱~Ⅰ」を観て来ました。これは大阪フィルハーモニー交響楽団の音楽監督である尾高忠明が大阪フィルハーモニー交響楽団と3回シリーズで行うフランス音楽の演奏会の1回目。2回目は8/25、3回目は11/25の予定。大フィルの音楽監督になって5年目になった尾高がこれまでは大フィルでロマン派の有名作曲家を取り上げてきたけど、5年目は繊細な匙加減を要するフランス音楽に取り組むことにしたらしいです。

 1曲目は景気づけ?に ベルリオーズの序曲「ローマの謝肉祭」。出だしはもひとつだったかな、だんだんノッてきたみたいだったけど。
 2曲目はプーランクの「オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲」。ザ・シンフォニーホールのオルガンが鳴るのを久しぶりに聴きました。オルガン奏者は大木麻理。鍵盤に向かうとずっと指揮者に背を向けた姿勢でさらに離れて上方に座ることになるんだけど、指揮の雰囲気って伝わるのかしら?横にひかえる譜面めくりのヒトの緊張具合が凄かったです。
 休憩を挟んでの3曲目はデュリュフレの「レクイエム」。デュリュフレと言えばこのレクイエムなんでしょうけど、私は生では初めて聴きました。好きです、この曲。大阪フィルハーモニー合唱団がオルガンの周りのいつもならステージを背後から見られる客席に補助椅子まで出して大勢で陣取って、さらに飛沫が飛ばないようにのれん形のチャコールグレーのマスクをしてダークスーツを着た集団はなんか宗教がかって見えます。デュリュフレの「レクイエム」にぴったりです。メゾ・ソプラノに小泉詠子。1曲しか出番が無かったのですが、ピシっとした姿勢で出番を待つ感じが綺麗でした。バリトンは原田圭。こちらは短いながらも出番は2回。同じく椅子に座って唄っていない時のいよいよ歌うぞって時と唄い終わった時のメリハリが面白かったです。
 ティンパニのヒトは全曲とおして終始ご活躍でしたね。トロンボーンのヒトはちょっとな~~と思って観てました。
 評価点は5点満点の3点。第2回はデュカスとイベールとビゼーとドビュッシー、第3回は全曲ラベルだそうですわ。次回も行きたいかも。

舞台「ロビー・ヒーロー」を観て来た

 今日は兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールで「ロビー・ヒーロー」の兵庫公演を観て来ました。出演者は、アメリカ・マンハッタンにある高層マンションのロビーでドアマン(警備員)をやっているジェフ(中村蒼)、その監督官(キャプテン)のウィリアム(板橋駿谷)、この地域を警らする巡査ビル(瑞木健太郎)と見習い期間の女性新人警官ドーン(岡本玲)の4人。この4人が休憩15分を入れて前後半2時間55分しゃべくり倒す会話劇。セットはジェフが勤務するロビーだけ。ジェフの勤務時間に他の3人がロビーに訪ねてくる形で話が進むので、圧倒的にジェフの台詞が多い。その上、間を活かす会話じゃなくて、相手の話にかぶせ気味でどんどん台詞を乗せてくるので、凄い量の台詞、よう覚えられるなぁと感心する。ただ、前半ジェフとウィリアムの人柄を説明するためなのか、2人の会話が長い。ほとんど冗長なコント。もう少し簡潔にできるんじゃないだろうか?あと、全員日本人がやってるから、ウィリアムがアフロアメリカンの設定なのかどうかわかりにくい。はっきり台詞の中にそれがわかるものを入れるべきじゃないかしら。この会話劇、警官2名が絡んでくるところからやっと面白くなってくる。ウィリアムの弟に強盗殺人容疑がかかり、弟は実直にたたき上げてキャプテンにまでなった兄にアリバイの偽証を頼んでくる。兄はその矜持を曲げてまで、どうしようもないヤツだけどその家族の無実を信じ偽証に加担する。優秀な警官ビルは自分の周りのコミュニティを護るため、その偽証に目をつむって警察・検察に根回しを行う。オトコ社会の警察でオンナというだけで不利なドーンは頑張り過ぎて自分に襲いかかってきた酔っ払いを半殺しにしたことで酔っ払いの妻から訴えられている中、気遣いもあるペア長ウィリアムの優しさにホロリとする反面、勤務時間に浮気をする、という二面性が許せない。ジェフは終始薄っぺらいチャラ男として演じられ、自分の気の向くままに他人のプライベートも軽口のネタにしてしまう軽薄さ。このジェフにだけは全然同情できない。ラストでジェフとドーンがキスでもしようものならどうしようかと思った。これだけ見る者を不穏な気分にさせるのは4人の演技力の為せる業としかいいようがない。ケネス・ロナーガンの脚本(翻訳:浦辺千鶴)も桑原裕子の演出も成功している、ということなんでしょうね。
 評価点は5点満点の3点。ジェフを観ているとムカムカしてしょうがない。良い芝居にはなってるんだろうけど、脚本が嫌い。客席も結構空いてましたね。これまでワタシが阪急中ホールで芝居観た時にこんなに空席観たのは初めてですわ。

映画「トップガン マーヴェリック」を観て来た

 昨日(5/28)は舞台「お勢、断行」を観た後、西宮ガーデンズに移動してTOHOシネマズ西宮OSで映画「トップガン マーヴェリック」を観て来た。映画「トップガン」も映画館で観て感動したけどさ、本作も前作のファンの期待を裏切らないいい作品でしたね。
 おまけに上映前には来年の「ミッション:インポッシブル」の予告編まで見られる。いやぁ、どこまで頑張るんだ?トム・クルーズ。映画が始まってみるといきなり字幕:戸田奈津子の文字。最近出番が減ってたけど、やはりトムの出世作の続編だもんね、やるよねそりゃ。
 スタートはピートがマッハ10を超える試験機のテストからスタート。大好きな映画「ライトスタッフ」でチャック・イェーガーがX-1で音速の壁を破るシーンを思い出しちゃったよ。エリートパイロットが続々アストロノートに志願していく中、ストイックに挑戦している様が、無人機の台頭に抗うピートの挑戦にシンクロする。もうこれだけでも満足。
 このテストを強行したせいで、クビになりかけるもののかつてのライバルで今や将軍であるアイスマンに救われ、トップガンに特別ミッションの教官として赴任する。アイスマン役のバル・キルマーが喉頭がんに苦しんでいたとは知らなかった。この映画でも重要な役割を演じている。その一方でピートのかつての恋人シャーロット(ケリー・マクギリス)は出てこない。代わりの昔の恋人役はペニー(ジェニファー・ロペス)。こちらも50歳過ぎとは思えない美しさ。ラブシーンはお子様が観ても影響ないレベルに抑えられていて、ペニーの娘にみつからないように情事の後にピートが窓から逃げるところは昭和の香りが漂ってますわ。
 今作は前作で命を落とした相棒グースの息子ルースターがミッションの選考メンバーに入っているところがミソ。戦闘機アクロバットシーンをはさみながら映画の中でペニーとよりを戻し、ルースターと和解していく、という単純明快な縦糸。安心して見られます。アクロバットのベースとなる特別ミッションはあるならず者国家の谷底に完成間近のウラン濃縮施設の破壊というもので、谷の断崖の上には対空ミサイルがうじゃうじゃ、相手の戦闘機は第5世代なのに、自分たちは険しい谷底にタッチアンドゴーみたいなアクロバットをやるためにF-18で挑むという制約をあえてかけて不可能色(だけどマーヴェリックならできちゃう難しさ)を出してます。いやぁ、映画を面白くするための設定だからなんでもありですな。おかげでペニーとピートがヨットに乗って、不慣れなピートにセイルを張らせて、「やっと海軍になったわね」みたいな台詞をペニーに言わせる脚本といい、カワサキのバイクをノーヘルでぶっ飛ばすシーン(日本では「あぶない刑事」の舘ひろしぐらいしかやってないな)といい、もうバブル期のオシャレさやカッコよさが満載。しかし、ルースターとマーヴェリックが敵基地のF-14を奪って帰還するところはもうギャグかよ、とかツッコミながらも無事着艦できたシーンでは映画館で拍手してしまいました。
 評価点は5点満点の5点。もうスジが分かっててもツッコミどころ満載でも心動かされるものはしょうがない。トム・クルーズ、お見事。

舞台「お勢、断行」を観て来た

 兵庫県立芸術文化センターの阪急 中ホールで昨日(5/28)の17時の回を観て来た。2017年の『お勢登場』は観ていない。『お勢、断行』はそれに続いて世田谷パブリックシアター×倉持裕のタッグで、2020年2~3月に上演を予定していたらしいが、COVID-19の影響で中止となり、今回あらためての上演になった模様。江戸川乱歩といえば、4年前の中谷美紀主演の舞台『黒蜥蜴』が面白かったので、今回も見てみようかと思った次第。主演お勢に倉科カナ。今公演では千代吉の娘役は上白石萌歌からTOHOシネマズで映画を観ようとすると必ず見かける福本莉子に交代。千代吉に灰皿をぶつけられた代議士役もCOVID-19にやられた梶原善に代わって兵庫公演だけ「ちむどんどん」のフォンターナのホール役の阿岐之将一が代役を務める(梶原善は今「鎌倉殿の13人」の便利な殺し屋のイメージが強いのでこの交代は正解かも。阿岐之将一は演じるのに必死だったのか、カーテンコールでも一人表情が硬かったな)。千代吉の後妻のお園の役は大空ゆうひ。この芝居、主役のお勢よりもお園が六田代議士や精神科医(正名僕蔵)と組んで千代吉を病院送りにする決断をするところや、住み込みの女中(江口のりこ)が電灯工事夫(堀井新太)と共にその悪だくみ巻き込まれていくところが面白かった。お勢が刹那的な振舞いをすることはいろいろと伏線が張ってあったのでラストは想像に難くない。小姑(池谷のぶえ)の存在や看護婦(千葉雅子)のモノローグはいいアクセントになっていた。その一方で探偵(粕谷吉洋)位置付けが登場人物の不安をあおるだけの役回り(死体になってからの方が重要な役回り?)でもう1つだった。福本莉子は懸命に演技してたけど、終盤のお園を陥れる一言を言うような影までは感じられなかった。
 セットの方はすごくよく出来ていると思います。上下に動く障子のスクリーン(外の景色や舞台に出てこない部分の動きを写す)や奥から手前に出てくる1階の部屋や階段は場面展開にスピードを与え、人物の動きに奥行きが出て、部屋割りも多様化できて、ほんと素晴らしかった。斎藤ネコの音楽も良かったです。あと同じ場面をリフレインする演出も気に入りました。
 評価点は5点満点の4点。上白石萌歌と梶原善が出ていたらどうだったかしらん、というところが気になるっていえば気になるので。
 

映画「流浪の月」を観て来た。

 本当は別の用事で会社を休んだのだが、用事のある日にちを間違って覚えていて、今日はいきなりノープランになったことを梅田まで来てから気付いたので、もうしょうがない水曜日(なんで一斉に水曜日を映画のサービスデーにしたんだ?できれば系列毎にサービスデーを違う日にしてくれたらいいのに)だし映画でも観て帰るか、時間もあるし長めのヤツ、ということで選ばれたのが2時間半ある「流浪の月」。TOHOシネマズ梅田に久しぶりに行って観て来た。本屋大賞も獲ったという原作はいつか読もうと思いながらまだ読んでない。ただ、インスタ等ですでに観に行ったヒトの感想は記憶の片隅に残っていたし、最近松坂桃李が主演する映画はほぼハズレなし(松坂演じる文は母(内田也哉子)にハズレ認定されていたみたいだが)だし、ワタシの好きな多部未華子も文の付き合っている相手役で出てるし(もっと出番あるかと思ってたのに~)、広瀬すず(成年の更紗役)とW主演だし、監督は李相日だし、このメンツだけでも観る価値ありそうと判断した次第。
 小学生時代の更紗を演じる白鳥玉季は良かったね~。松坂桃李もカラダ絞って佐伯文役の大学生時代と成年期(内面的には変わってないのか)をよく演じていたと思う。しかし、あのカフェの稼ぎで暮らしていけてたのかしら。ビル自体が親の持ち物で1階のアンティークショップの家賃も収入源だったのかしら。横浜流星演じる更紗の恋人(こちらも見事なDV男子っぷりでしたが、普通あそこまで身を持ち崩す前に次の彼女を探すんじゃないかしら、前例もあるということみたいだし、そこらへんが小説というか映画の世界よね)のDVもあって文のカフェに更紗が通うようになって急展開。更紗のバイト先の同僚のシングルマザー安西(趣里)の娘・梨花(増田光桜)を更紗が預かった途端、安西が蒸発なんて、まるで梨花は更紗の子ども時代。文と更紗と梨花が連れ立っているところを週刊誌にすっぱ抜かれて、15年前の事件の再発、みたいなことになっていく。文には2次性徴が来ないという障害があってそもそも性交ができないという秘密の露見よりもロリコンと言われる方を選ぶし、更紗も実母蒸発後に引き取られた叔母の家でのいとこによるハラスメントを公にできなかったことで、ずっと15年前の児童誘拐事件の加害者と被害者のまま、現在もその烙印を押されたまま、流れ流れて二人で支え合って生きていくことになるというエンディングは苦い思いしか残らない。ロリコン誘拐もDVも事件の真相なんて当事者にしか、いや当事者にも明確には分からん事があるもんね。もう、自分たちの信じる道を行きなさい、としか言えませんわ。できれば加害者と被害者としてではなく、この二人をまとめて看てくれる相談先が世の中にあるといいのだけれど。
 評価点は5点満点の4点。きっと日本アカデミーの作品やら主演の賞候補になる映画だとは思うけど、やっぱり明るい映画の方が好き。さて、日にち間違えていた件の方をどうするかな。

映画「シン・ウルトラマン」を観て来た

 昨日(5/14)はMOVIXあまがさきで映画「シン・ウルトラマン」を観て来た。今月は誕生月なので、松竹から1000円で観られるクーポンが来たので、それを使って観て来ました。ありがたい。
 「日本を代表するSF特撮ヒーロー「ウルトラマン」を、「シン・ゴジラ」の庵野秀明と樋口真嗣のタッグで新たに映画化。庵野が企画・脚本、樋口が監督を務め、世界観を現代社会に置き換えて再構築した。」ということなので、ヱヴァンゲリヲン臭が強いです。かつての空想特撮映画「ウルトラマン」のプロットをベースにエヴァの世界観を再構築したような映画。ただ、オリジナルの「ウルトラマン」に対する思いも強い。先週、あべのハルカス美術館で「庵野秀明展」を観て来たけれども、そこで観た庵野のウルトラマン愛が随所に出ていて、観ていてニヤついてしまう。オープニングの「シン・ゴジラ」から「シン・ウルトラマン」にタイトルが変化する様は、「ウルトラQ」から「ウルトラマン」に変化した様をそのままパクったみたい。今回、怪獣の文字に「禍威獣」を当て、科学特捜隊(通称:科特隊)にも「禍威獣特設対策室専従班(通称:禍特対)」の字を当てる念の入れよう。禍威獣もウルトラQの怪獣が出て来てます。対処法もウルトラQでのそれにならっています。ゴメス、マンモスフラワー、ペギラ、ラルゲユウス、カイゲル、パゴス、以前の話ということでどんどん出て来て消えて行くところは、エヴァで歴代使徒振り返るシーンの様。そして現在になってネロンガ登場。ここからがウルトラマンの怪獣で、ここにウルトラマンも光の国からやってくる。禍特対が自衛隊の陣営にやってくるところは、エヴァで国連軍に連動するネルフの様。
 ところで地球に最初にやってきた外星人「メフィラス(山本耕史)」によって蘇らされた原生生物らしいけど、この辺が使徒っぽい位置付け。後からやってきたウルトラマンや外星人「ザラブ(ザラブが化けた偽ウルトラマンとウルトラマンの闘いもエヴァっぽかった)」はメフィラスにとっては邪魔者。シン・ウルトラマンにおけるセカンド(サード?ファースト?)インパクトは光の国から来た刺客ゾーフィが仕掛けた「天体制圧用最終兵器ゼットン(これが一番エヴァっぽかったかな)」によってもたらされようとしている。
 出演陣はウルトラマンと融合する神永に斎藤工、その神永とバディを組む巨人分析担当 浅見に長澤まさみ、多分ペギラを撃退した汎用生物学者 船縁に早見あかり、ゼットンを異空間へ葬る計算式を編みだす非粒子物理学者 滝に有岡大貴、班長の田村に西島秀俊、その上司宗像に田中哲司という絶妙な配役。総理大臣が嶋田久作というのはちょっとイメージが難しかったけど、防衛大臣が岩松了はいい感じでした。
 途中、長澤まさみがそのまま巨大化して登場するとか、浅草一文本店でウルトラマンとメフィラスが酒を酌み交わして落としどころを探る、というお楽しみもあって、あっという間の2時間弱だった。
 評価点は5点満点の5点。ウルトラQ~ウルトラマン~ウルトラセブンのファンでエヴァのファンなら申し分ない内容でしょう。面白かったです。